(1998年3月、在イエメン大使館)
援助形態 | 有償資金協力(円借款) |
協力年度 | 1988年度 |
協力金額 | 220.76億円 |
相手国実施機関 | イエメン・セメント公社 |
協力の内容 | イエメンの深刻なセメント不足に対処するため、南西部の同国第二の都市タイズ(人口118万人)近郊に位置するマフラクに年間生産能力50万トンのセメント・プラントを建設する。これにより、同国のセメント不足を解消する。 |
〈評価要旨〉
1 効率性
本プロジェクトの実施はタイミング的には適切であったが、技術レベルの点では、内戦勃発のため請負業者による運転操業指導が計画通り実施されなかったこともあり、コンピューター化されたプラントを当国民だけで運転操業するには困難が伴い、トラブルが多発した。
2 目標達成度
電力の供給量が十分ではなかったことが主たる要因となり、1993年5月にプラントが完工した後、実際の生産量が計画された生産能力(年産50万トン)よりもかなり下回っていたが、電力供給などの問題が解決された結果、97年には生産量が44.4万トンに達した。
3 インパクト
国内におけるセメント生産量の増加(1992年の81.4万トンから97年の123.2万トン)、外貨流出の削減(92年のセメント輸入量117.6万トンから97年には31.6万トン)、雇用の創出(622名)等の期待された波及効果が生じた。
4 妥当性
国内のセメント需要が増大し、セメント生産量が限られていた中、セメント生産に必要な原材料が国内で容易かつ十分に調達できるようになったことから、プロジェクトの選定は適切であった。
5 自立発展性
本プラントは一定の収益を上げており、維持管理費用は確保されている。当初計画されていた運転操業指導が十分に行われなかったため、技術レベルは一層の改善の必要がある。
6 環境への配慮・影響
本プラントは世銀の環境基準に基づき設計されている。環境数値は定期的な測定が行われていない等、環境に対する配慮は十分ではないが、深刻な環境問題は発生していない。
7 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
実施機関の技術レベルが十分でない場合は、我が国の協力終了後も、必要に応じて専門家派遣などの技術協力の手当てを検討すべきであろう。