(1998年2月、在スリランカ大使館)
援助形態 | 無償資金協力 |
協力年度 | 1991年度、92年度、93年度 |
協力金額 | 5.77億円、8.37億円、3.58億円 |
相手国実施機関 | モルディブ漁業公社 |
協力の内容 | 漁港土木施設、冷凍・冷蔵施設および付帯施設の建設 |
〈評価要旨〉
1 効率性
当初、冷凍冷蔵施設についてはクウェートが建設し、我が国が港湾施設部分に対する協力を行う予定であったが、湾岸戦争の勃発により、クウェート基金による協力が見込めなくなったことにより、最低限の冷凍冷蔵施設についても我が国が建設することとなった。湾岸戦争終息後、クウェート基金により施設の拡大が図られたが、効率性に影響があった。
2 目標達成度
それまで老朽化の著しい冷凍母船によって漁民から直接行われていた漁獲物の集荷状況が改善された。湾岸戦争により当初計画の変更が余儀なくされ、最低限の冷凍冷蔵施設についても我が国が建設することとなった結果、予算が不足し、漁港の水深が浅いことから冷凍母船が直接接岸することが出来ないため移し替え作業が必要となっている。
3 インパクト
施設が改善されたことにより漁業公社の機能が強化された。施設の管理運営に必要となる約150名の雇用が創出され、それまでの自給自足に近い生活を送っていた地域住民は安定した現金収入獲得が可能となり、生活水準が向上した。地域住民が積極的に漁業活動に携わるようになった。
4 妥当性
水産業は観光業および流通業と並ぶ基幹産業であり、水産物の輸出は総輸出額の約7割を占めている。本件協力は外貨獲得に大きく貢献している。
5 自立発展性
施設は、漁業公社により十分な人員および予算的配慮がされており、良好な状態で運営、維持管理されている。また、スペアパーツは自己調達しており、特段の問題は生じていない。冷蔵施設の床面が剥離したが、近く修理される予定となっている。
6 今後必要とされるフォローアップ
冷凍母船の着岸を可能とするための港湾施設の拡張が必要。更なる漁業振興のためには、新規集漁船および新規漁船の導入が望まれる。
7 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
難しい問題ではあるも、他のドナーと連携してひとつのプロジェクトを実施する際には片方の不都合により問題が生じた場合に、他方が如何に対処すべきかにつき正しく判断し、適切な善後策を講じる必要がある。