広報・資料 報告書・資料

前のページへ / 次のページへ

マレーシア エンキリリ~シブ送電線建設(II)


(1998年4月、在マレーシア大使館)


〈プロジェクト概要〉

 援助形態  有償資金協力(円借款)
 協力年度  1986年度
 協力金額  43.57億円
 相手国実施機関  サラワク電力供給公社
 協力の内容  バタンアイ水力発電所の発電電力を有効活用して、サラワク州西部地域の電力需要の増加に対処するため、円借款により、エンキリリ~シブ間に、送電線及び変電所3か所などを建設する。


〈評価要旨〉

1 目標の達成度

 送電線の建設により、シブ地区などに対して、バタンアイ水力発電所の余力電力が活用可能となったほか、サラワク州西部地域の電力供給系統が改善され、クチン地区における工業用電力を夜間シブ地区などへ向けるなど、サラワク州西部地域の電力供給の信頼性が向上した。1994年までのシブ地区などにおける電力の安定 供給はおおむね達成された。

2 インパクト

 地域経済にとって、未開墾地の開発や工業化、雇用促進など、波及効果は広範囲にわたっている。また、この送電線は、サラワク州を東西に横断する幹線送電線ネットワークの一部を構成していることから、州全体の電力の安定供給、経済発展に貢献しているといえる。

3 妥当性

 このプロジェクトは、半島マレーシアに比べて経済発展の遅れているサラワク地域のニーズに合致している。また、送電線に関する資機材については、現地調達が可能なものが選択されている。特に、送電線の鉄塔のアームには一部クスノキが用いられているが、クスノキは現地で調達可能で、高強度かつ安価な資材である。

4 自立発展性

 送電線の維持管理は、ジャングルの中に建設された鉄塔を1グループ約2人で1日に2~3本の割合で一 つ一つ検査しており、エンキリリ~シブ間の約460本の鉄塔について、年1回検査を実施している。1997年に計8回の接続不良が生じ、うち2回は2系統ある送電線の双方が同時に不良をきたしたが、2回とも数時間のうちに復旧している。

5 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 今回のプロジェクトにより、地域住民の生活レベルが向上したことは疑いないが、比較的幹線道路に近い送電線の鉄塔に日本のODAプロジェクトである旨を明記するなどの工夫がなされていなかった。宣伝効果が大きいと判断できるプロジェクトについては、積極的に宣伝すべきであると考える。


前のページへ / 次のページへ

このページのトップへ戻る
目次へ戻る