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フィリピン 学校校舎建設計画(第4期)


(1998年4月、在フィリピン大使館)


〈プロジェクト概要〉
 援助形態  無償資金協力
 協力年度  1992年度
 協力金額  27.95億円
 相手国実施機関  教育・文化・スポーツ省
 協 力 の 内 容  1987年にフィリピンを襲った大型台風をはじめとする多数の台風で被災した初等・中等学校校舎の緊急修理を行い、教育環境を改善するため、教室(中等学校においては理科教室を含む)及びトイレを建設する。


〈評価要旨〉

1 効率性

 学校校舎の建設に当たっては、緊急性を重視し、工期短縮を優先してプレハブ工法を採用した。また、用地については既存敷地の隣接地の無償提供や既存敷地内の空き地の利用することで確保された。

2 目標達成度

 教室が増設されたことにより生徒の収容能力が向上したが、生徒数の増加が予想を超えるものであったこと、また敷地による制約等により十分な数の校舎が建設できなかったところもあり、依然として教室が不足している。また、中学校において理科教室が整備され、機材が供与されたことにより、理科教育の質的向上に貢献した。

3 インパクト

 理科教室の整備及び実験機材の供与は理科教育の質及び理解度の飛躍的向上をもたらし、政府がめざす理数科教育の改善に大きく貢献した。教育環境が改善されたことにより、児童の成績向上した学校もみられた。

4 妥当性

 例年の台風、火山の噴火等の自然災害による学校施設の被害に加え、年率3%にのぼる就学適齢児童数の増加のため、教育施設の整備は政府の喫緊の課題であった。一方、初等・中等教育施設整備には膨大な資金が必要であるが、政府の財政は窮迫しており、教育施設・教育機材の整備が十分に行われないため、生徒数の増加に対応できていない現状にあった。

5 自立発展性

 プロジェクトの実施に際しては、学校側や地域住民及び父母の協力が得られた。維持・管理はPTAのボランティアや寄付に頼って良好に行われているが、今後は負担も大きくなることが予想されるため、制度的な対応が必要になると考えられる。

6 環境への配慮・影響

 既存の敷地内での施設建設であったり、小規模な整地のみであるため、環境に与える影響は小さい。

7 今後必要とされるフォローアップ

 既に整備が終了した学校でも生徒数の増加による教室数が不足しているところもあり、継続中のプロジェクトの進捗状況を勘案しつつ対応を検討する必要がある。維持・管理体制についても検討する必要がある。

8 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 同じ仕様の施設を全国に展開するようなプロジェクトの場合、長期間かかる中で初期に整備した施設に関する追加要望が出てくるのは必然であり、対象施設(範囲)及び完成後の取り扱い(追加整備、維持・管理)等について、柔軟な対応を前提としつつも、できる限り事前に明確にしておく必要がある。プレハブ校舎のため天井がない構造になっているが、直射日光が当たると教室内が非常に暑くなるため、構造的な工夫をして欲しいとの要望が出された。


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