(1998年4月、在中国大使館)
援助形態 | 有償資金協力(円借款) |
協力年度 | 1988年度、89年度、90年度 |
協力金額 | 28.46億円、89.34億円、64.45億円 |
相手国実施機関 | 遼寧省水利電力庁 |
協力の内容 | 遼寧省太子河流域における洪水制御、各種用水の確保、発電などを行うため、円借款により、上流の観音閣に総貯水量22億立法メートルのコンクリート・ダム及び関連付帯設備を建設する。 |
〈評価要旨〉
1 目標の達成度
洪水被害の軽減については、特に大きな効果を挙げており、1995年の洪水の際には、約8.6億元の被害軽減をもたらした。都市・工業用水の確保については、当初目標には達していないものの、2002年には達成される見込みである。農業用水、電力供給も当初目標を達成している。
2 インパクト
このダムは、その景観を活かした観光業の振興にも役立っており、地域の振興に多大に寄与している。また、ダムの建設業者は、今回の経験を活かし、別の円借款案件である白石ダムなど、ほかの地方のダム建設にも参加している。
3 自立発展性
ダム管理局には、283人の職員がおり、維持管理を行っている。運転資金は自己調達で政府の援助は受けていない。水の供給収入が年2,000万元、電力供給収入が年1,500万元あり、人件費、施設維持費をまかなうことが可能である。
4 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
このダムは、工期が遅れることなく建設されたが、これには、省市の指導者の支持が大きかったことが影響をもたらしたようである。プロジェクトに対する上部の支持状況を事前に把握しておくことが有益であるといえる。