(1998年3目、在タイ大使館)
援助形態 | 有償資金協力(円借款) |
協力年度 | 1988年度、89年度 |
協力金額 | 41.17億円、56.70億円 |
相手国実施機関 | 運輸通信省道路局 |
協力の内容 | 東部臨海地域とバンコク首都圏との間の交通量の急増に対応するため、円借款により、チョンプリ・バイパス道路の拡張、チョンブリ・バイパスーパタや間の道路建設、インターチェンジ5か所の建設を行う。 |
<評価要旨>
1 目標の達成度
1996年の交通量の実績は2万6,000台/日を上回っており、さらに毎年増加傾向にあるので、当初目標の達成度は高いと評価できる。
2 インパクト
道路の完成により、チョンブリ市内と旧国道3号沿線の交通渋滞の緩和、パタヤ地区のみならずラヨーン地区へのアクセス条件の改善による開発の促進、といった波及効果を生んでいる。
3 妥当性
東部臨海地域には、タイを代表する工業地帯が形成され、1980年代から90年代初頭の日系企業進出の受け皿としての役割を果たした。さらに、レムチャバン港もバンコク首都圏の物流を支える基地に成長した。この路線の整備なくしては工場団地や港湾の成長が大きく阻害されていたと推測されることから、プロジェクトの選定・形成は適正であった。
4 自立発展性
道路の維持管理は運輸通信省道路局が行っている。特に目立った破損個所はなく、適正に維持管理されている。
5 今後必要とされるフォローアップ
現状において特に必要とされるフォローアップはない。しかし、今後は、交通量の増大や過積載貨物車の通行によって、舗装の維持修繕が必要となるほか、交通安全の観点から対向車のライトを遮断する設備の設置など道路構造のグレードアップを図らなくてはならない可能性がある。
6 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
このプロジェクトは、実施時期が東部臨海地帯の開発の速度に合致して進められたものであり、非常に効果的な投資がなされたと評価できる。これは、東部臨海地域における開発調査を下敷きとして円借款が導入されたことが大きく貢献したと言える。十分に時間をかけてしっかりと開発調査を行った上で円借款供与の妥当性を綿密に検討するといった段取りを一般化すべきと考える。