(1998年2月、在タイ大使館)
援助形態 | 有償資金協力(円借款) |
協力年度 | 1988年度 |
協力金額 | 14.59億円 |
相手国実施機関 | 王立灌漑庁 |
協力の内容 | 東部臨海地域の増大する水需要に対応するため、円借款により、ドククライ・マプタプット送水管に接続するマプタプット・サタヒップ送水管を建設し、ドククライ貯水池よりサタヒップ地区に上水を供給する。 |
<評価要旨>
1 目標の達成度
円借款の対象である送水管施設は完成しており、ドククライ貯水池の水をサタヒップの貯水池まで送ることはできているが、その水を各戸、各施設に送水するための上水管施設(タイ政府自己資金実施対象分)が、タイの経済危機、政府の予算削減のために作られておらず、結果としてプロジェクトの主目標であるサタヒップ地区の水需要を満すことができていない。
2 インパクト
バンチャン地区の一部については、上水道設備が作られ末端まで送付がなされており、地域住民が裨益しているが、主たる送水先であるサタヒップ地区へは送水されていないため、現時点では、インパクトは限定的である。
3 妥当性
サタヒップ地区は、水の供給源を天水に頼っている状況であり、水の需要は高い地域であるため、プロジェクトの選定自体は適当であったと言える。
4 自立発展性
送水管施設自体の維持・管理状況はおおむね良好であった。
5 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
タイ政府側の説明によれば、サタヒップ北部地区の上水設備は、98年末を目途に更に整備を進めるとのことであるが、タイの経済危機は深刻の度合いを高めており、財政難にあえぐタイ政府がどこまで本件関連施設の整備に予算を手当できるかは疑問が残る。今後とも、タイ側による進捗状況について注視していくとともに、必要に応じ、日本政府としても追加的支援が可能かどうか検討する必要がある。
6 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
日本の協力によるプロジェクトがその目標を達成するために、受け入れ国政府独自の予算によるプロジェクトの実施が前提条件となっている場合には、後者のプロジェクトの実施見込みを十分見極めることが必要である。