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第5章 事業(政策)レベルでの提言


 評価チームは所与の日程の中で、3事業(1.シャプラニール。ショミティ活動など。2.JSRDE:農村開発実験共同研究[コミラ県]。3.MRDP=モデル農村開発プロジェクト。[コミラ県])について学習し考察する機会を得て、第2章から第4章において事業別評価を行った。この第5章では、以上の考察と評価に基づき、事業レベルでの提言を行いたい。限られた時間と多くの制約のある条件下ではあるが、共同評価を可能にしてくれた多くの関係者の観察や意見を吸収し、団の中での討議を経た提言である。


I. シャプラニールの事業に対する提言

 第2章で詳述されているように、全体としては、貧困層や女性をふくめた農民グループの自立の実現という意味での、農村開発活動の例として積極的な評価ができるが、今回の訪問と学習を通して、以下のような提言をしたい。

1. 計画時および活動開始時における達成目標の明確化と、関連してフェーズアウトスケジュール(運営移転・完了・引き上げへの計画)の明確化。

 訪問した範囲の、既に10年以上経過する成熟度の高いショミティとの関係において、シャプラニールおよび職員の助言・協力の必要性(会計面をふくむ運営へのチェック機能と助言、収益事業に関する助言、第3者的立場での調停など)がまだあり、心理的にも離れがたいという側面もあるのだろうが、積極的な意味で「卒業」(=運営移転・完了・引き上げ)が奨められると思われた場合があった。適切な経過措置をもって、双方が明確に「卒業」を意図することによって、ショミティは、一つの独立した住民・民衆組織(PO)に成長し、シャプラニール等のNGOや他のPOとも対等な関係にたつ存在になろう。その上で、協力関係を継続することが可能であろう。他方シャプラニールは、その能力・知識・経験を必要としている他の村・地域の人々(新しいショミティ)に、現有の能力と役割を提供できるであろう。

2. 直接実施とパートナーシップ方式の比較分析を行うこと。

 前記1.の問題とも関連し、またシャプラニール内部での議論の対象ともなっているようであるが、国際NGOとしてのシャプラニールが活動主体として直接実施に関わりつづけるのか、パートナーシップ方式(現地NGOあるいはPOへの側面支援)の方向を取り入れていくのか岐路に達している現況下、あらためて、バングラデシュ(地域差もあろうが)における両方式の比較分析を行うことを奨めたいと思う。

 関連して、各ショミティメンバーのショミティおよび活動へのオーナシップ(主体・所有の意識)は強く感じたが、シャプラニールのバングラデシュ人メンバーは、(個々人の意識の差もあろうが)、被雇用者なのか?シャプラニールのオーナー(主体)なのであろうか?という問題も強く意識された。

3. 行政との連携を強めること。

 一般的に指摘される、バングラデシュ政府の官僚の特権階級化や、行政能力の欠如に起因して、一部NGOが既存の行政組織と切れた形で「二重政府化」(BRACが既存の公的小学校システムの外で、一万を超える独自の小学校建設・運営を実施していることなど)を進めているように見えるなかで、シャプラニールは、教育、保健、畜産・農業サービスなどの分野で、地域住民と地域行政を結びつける方向で、自己規定し活動していることは評価できる。ただし、さらに、中央行政や地域行政に対して、政策面をふくめ、シャプラニールの25年間の活動の積極面を反映させ、より多くの農民・住民が「グループ発展を中心とする能力形成事業」「基礎教育・基礎保健などサービス提供事業」「所得向上など経済発展事業」に参加し担えるような方策に関しても考え動く時期にもきている。

4. カバー範囲の拡大のための資金的人的裏付けの確保(日本国内)

 上記3.の地域行政・中央行政を通しての活動の普及を考えることと平行して、シャプラニールが(直接実施であれ、パートナーシップ方式であれ)開発活動のカバー地域を広げるには、当面の資金元となっている日本において、シャプラニールヘの支援をさらに広く獲得する必要がある。すでに限界に近い所まで努力してきているのだろうが、個人会員の拡大、個人寄付・民間団体の支援の拡大がひとつの道である。これは翻ってNGO(市民による自発的な国際協力団体)を支える日本の市民社会のあり方と力が問われているとも言える。NGOとODAとの協力活動の現場を広報する等の方法により、ODA(NGO事業補助金、草の根無償だけでなく、広い意味で)との連携というのも考えられるもうひとつの道である。

5. 国内の支持基盤の拡充(活動国内)

 中長期的に考えるならば、バングラデシュにおける開発活動は、資金的にも人材的にも、その国で担える部分を増やしていかねばならない。困難ではあるが、バングラデシュの人々に支えられる農村開発活動という視点も併せもつべきであろう。諸外国政府、国連・国際機関、大きな国際NGOからの支援を別にして、純粋に市民・市民団体からの支援は、現状では大きな割合を占め得ない現実はあろうが、その視点と方向性を追求すべきであろう。


II. ODA事業に対する提言

 第3章および第4章において、詳述されているが、ここでは、学習する機会のあったODA 2事業に関する、事業レベルでの提言を行いたい。2事業に共通する項目を取り上げるようにしたが、どちらかに偏る項目に関しては、括弧内に事業名を明記した。

1. 事前調査の強化(特に底辺層への配慮)

 調査の期間はとられているが、ターゲティングの問題とも関連し、1990年代から21世紀を臨む農村開発という意味では、底辺層(土地無し農民、その層の女性など)の現状把握(基本的経済・社会データをふくむ)、構造理解、それに対してどのような開発の活動・事業が有効でありうるのか、という点での基礎研究・事前調査を、現地の草の根レベルの状況に詳しい機関と人々(特に現場で長期に活動を発展させている地元NGOや国際NGO)の参加を得て実施していかなければ、開発の実現は難しいと考察する。費用等限定された資源で活動するNGO(その条件下でかなりの成果をあげている)と異なり、ODAでは、調査・研究段階においても、十分な費用と時間、人材を獲得できる条件にあるわけであるから、(同様の農村開発を目指すすべての団体や人々にも役立てうる)事前調査・基礎調査をこれまでにも増して十分に行って頂きたい。

2. 事前調査段階でのNGOの参加

 1.の問題とも関連して、(農村開発の分野であるいはその地域において深い経験・知見をもつNGOという意味であるが、)事前調査の段階で、NGOの参加を実現することによって、構造上の問題を予見し、農村社会にあって、底辺で呻吟ずる人々が最終的に生活および人生の主体となり、生活改善を実現するという事業への基盤が確保されるであろう。そこが弱いために、結果的にであるにせよ、事業の実施と進展によって、地域の上層部と底辺部の経済的社会的格差が拡大してしまうこともあり得る。手始めに、いくつかの適当案件の事前調査や形成調査等に、現場で長期に活動しているNGOが何等かの形で参加する方途の導入が望まれる。

3. 計画設計に社会開発の視点をいれること。

 すでに、開発に長期に携わってきた、国連機関(UNDPなど)・公的機関、NGOでも確認されてきたことであるが、国全体もしくは地域全体の経済指標の改善を目指す経済開発の視点だけでは、開発の本来の目的である貧困問題の解決、あるいは女性の貧困化(貧困の女性化)等の根本的課題は、まず達成できない。計画段階・調査段階から強力に社会開発の視点を取り入れ、本来の貧困層(土地無し農民、女性など)が、自ら問題解決に取り組んでいけるための参加や「エンパワーメント」の視点を取り入れることによって、根本的で持続的な開発事業が設計・構想される。

4. 費用対効果と持続性の視点を強化すること。

 外から開発協力が入る場合、「外からのインプット」(資金、資材、人材、技術など)がなくなった時点でも、基本的な事業・活動、効果が持続しなければ、一時的で孤立した影響となってしまう。費用対効果の問題とも密接に関連するが、このODA 2事業の評価に立って今後を展望するなら、継続しない「外からのインプット」を徐々に削減し、バングラデシュ側(中央政府、地域行政、BARDなど具体的な協同事業機関。広い意味ではその地域のひとびと全体)への管理・運営・事業実施の移行後も、これら関係者及び住民の「内側から醸成された活動」が、つまり真の意味での事業の効果が持続していく方途を導入すべきである。バングラデシュ側の関係者からも指摘があったように、事業全体の費用が高価で、維持管理という面で困難をきたすような事態は避けることに加え、生活向上のための継続的活動が住民の間に根付く工夫が必要である。

5. カウンターパートヘの技術移転。持続性を強化すること。

 JSRDEに関しては、農業分野、適正技術の分野での技術が、日本の専門家が去った後、あまり生かされた様子がなく、MRDPに関しては、JOCV隊員の努力にもかかわらず、直接のカウンタパートはダッカなど(他地域)からの臨時雇用であって、日本の援助として終了した後は、地域に十分な技術が残るのかという疑問をもった。今後の展開を考えるにあたって、農業、畜産、養魚、保健などJOCV隊員とともに働くスタッフは、地元の継続する地域行政の関連部局から選抜し、活動する村の単位でも、興味をもつ個人というだけでなく、グループでの技術の受け止め手を明確化する必要があると思う。カウンターパートが地元に近い住民であれば、技術修得や周りの住民への普及にも更なる熱意がこもり、JOCV隊員等日本側関係者の活動もより活発化するであろう。

6. 実施段階での社会的弱者の参加を強化すること。(その意味での、NGOとの連携)

 地域農村の底辺層を開発の担い手、あるいは対象としてもそれほど強く意識していない(ターゲティングしていない)こととも関連するが、2事業ともに、今後の展開があるとすれば、底辺層(土地無し農民、女性など)が、事業実施に参加し、力をつけ、開発の主体となっていくということを強化すべきである。このままでは事業効果にアクセスしゃすく、経済的・社会的・知的に余力のある階層が主に受益し、結果的に社会的格差が拡大するばかりという結果になりかねない。直接の底辺層へのアクセスが困難であるなら、ショミティ活動などを通して長い経験と知見を有するNGOと連携する必要がある。

7. 計画および実施段階で自然環境への配慮を強めること

 たくさんの人々が、限られた土地に住み、限られた耕地を耕していればこそ、生活の場である自然環境への配慮は意識的に、事業計画と実施の段階で盛り込まなければ、長期の農業生産と健康、生活の持続性にもマイナスの影響となってあらわれてくる。JSRDEでは考慮されていたようであるが既にバングラデシュの農民、農民組織、NGO、公的機関に多年蓄積されている、自然環境に配慮した農林漁業と生活のしかたのノウハウを集約し、参考にするだけでも今後の事業継続・発展の改良につながるはずである。

8. プロジェクト前後の基本データの収集と分析

 この項目1.2.3.および9.とも密接に関連するが、事業開始前の状況、実施中実施後の時点で、農村社会の各階層の基本経済社会状況の項目別(土地を含めた所有、家計・収入の種類と額。支出の内訳。識字状況、学校などでの学習歴など)データを収集し、分析しておくべきである。案件の種類によって、その難易や形態、また日本側が実施すべきか、開発で精一杯のバングラデシュ側にも実施する方途があるのか様々な問題はあろうが、事業実施期間中に、「貧困層」の収入が上がったはずといっても、裏付ける資料がなければ、根拠と信頼性に乏しい印象レベルの話になってしまう。また、基本データがきちんと残っていれば、成功の要素を分析することによりバングラデシュで、あるいは同じ村・地域で、農村開発を考える地域住民(組織)、NGO、政府・国連など公的機関の、大きな集合的な参考になり、それだけでも多大な貢献となり得る。何等かの工夫の余地はないものか。

9. 貧困層/女性へのターゲティングの強化

 経済協力という意味では、地域の、特に数字で計られる商品の売買総量、全体(および一人平均)の収入の増減、輸送交通の総量などマクロ経済指標を中心に、開発をとらえることになる。その場合でも、底辺層を意識的に考えない開発事業の計画と実施では、総体としての開発の問題、貧困の問題の解決は、先送りになり、多くの場合、経済的社会的格差が拡大する一方である。ODAの開発が面的開発であるからこそ、これら社会的弱者への配慮が面的開発に強固な地盤を形成し、事業全体が活性化されてくるとも思われる。この問題を根本的に考えれば、底辺層(貧困層/女性)のターゲティングは、開発事業に必須の要素である。それも長期的には、単に事業の受益対象にするということ以上に、貧困層、女性が(基本的にはグループとして)主体的に問題に取り組み、人生と生活の主役となり、収入、健康、生活の改善をはかれるようになるという視点がない「開発」は、全体として中途半端なものとなってくる。今回のODA 2事業は、今後の展開において、あるいは今後、再構想の機会があるのなら、是非この観点を強く意識し具体化して頂きたい。

NGOとODAの継続的協力について

 これまで既に述べてきた指摘事項・提言と重複する箇所もあるが、今回の限られた範囲での学習と評価から見出した諸点をNGOとODAの継続的協力という視点に絞って議論を整理することにより、事業レベルに留まらない政策面での改善点を以下に指摘する。

 (1) 今回、NGO・外務省の定期協議の成果の一つとして、NGO・外務省による共同評価の活動は、両者による相互訪問、相互学習の場として、お互いに改善点を見いだし、今後の両者による協力の展望を広げることにおいて、非常に有効であった。今後、日本国内レベルでの定期協議、海外各国・各地域での大使館、JICA、OECF、NGO間での、相互学習(事業への視察をふくむ)、定期的な会議(意見交換・情報交換など)の実施と平行し交流を持ちながら、このNGO・外務省による共同評価を、援助実施機関の参加も実現しつつ、継続拡大すべきと考える。

 (2) 特に援助の現場である現地においてNGOと大使館、JICA、OECF等のODA関係者が密接な情報交換を行い、お互いのノウハウ、経験等を活用していくことは重要である。例えばMRDPにおける小学校や道路・橋等農村インフラの整備は、貧困層も含めた地域住民の生活向上に役立っているが、これをきっかけとして地域経済が本当の意味で活性化するためには、よりきめの細かい、地域の実情に根ざした特に貧困層を主な対象とした収入向上事業の開発と普及に取り組むことが必要である。この方面で実績を有するNGOとの連携が望まれる。

 (3) NGOの活動にしてもODAの活動にしても、相手国の行政や社会基盤を前提にして実施されることに違いはない。例えば、シャプラニールが目指す貧困層のエンパワーメントとは、行政サービスを含めた各種資源に貧困層がアクセスできるようになることでもあるとも位置づけているように、またJSRDEが地域住民と行政サービスのリンケージにより住民の生活向上を目指したように、貧困層を含めた住民の生活向上や、貧困層の最終的な自立のためには、行政との関わりが不可欠である。この意味からも上記のような情報交換・連携が望まれると同時にここでのノウハウの蓄積がODA事業に活かされつつ、長期的にはNGOの現場を含む地域社会全体の発展、ひいてはバングラデシュ側関係機関へも反映されていくことが期待される。また、この実現のためには、現地における協力活動の成果が東京サイドで重視されることも必要である。

 (4) 今回の評価では、これまで日本の公的開発援助が有償援助、無償援助、技術協力の3つのスキーム別に構想され、技術協力等でも農村開発、農業、医療・保健、教育などセクター別分野別に、計画され実施されてきたことから生じる限界が感じられた。各国・各地域における社会・文化の違いを見極めることなしに、援助活動や協力活動が成功することは非常に困難である。従って事業実施の際に、ある技術分野の専門家を集める以前に、基本的な計画段階から、その国その地域を熟知している人・グループが関与することが必要条件である。例えば、シャプラニールの識字教育が貧困層の人々に、人に依存しなくてもよいという自身をつけるのに役立っていること、また識字教育の過程で教育の重要性を認識し自分の子供たちには是非教育をつけさせたいという意見が圧倒的に多かったとの経験は、単にODA案件の成功のみならず、その一層の活性化に役立つ側面が多々あると思われる。

 (5) また、農村地域における開発において、社会基盤(道路・橋・学校・訓練所など)の物理的な整備も、地域の住民、とりわけ底辺層(バングラデシュの文脈では、土地無し農民や貧困層の女性など)のエンパワーメントと参加なしには、活きてこない。日本の公的開発援助が、世界の貧困の根絶・軽減と、貧困者の生活改善を掲げている以上、貧困層・女性のエンパワーメントと参加の重点化を行うことと、その分野で、十分な経験・知識をもち成果を挙げているNGO(市民による開発協力団体)を計画段階から参加させることは、ODAの改善に大きな効果を発揮する可能性を持っている。例えば、ショミティ・メンバーの妻を持つ夫は、妻がショミティ活動をすることで家族への貢献(貯金、トイレや手押しポンプ井戸の安価な購入、農地の借入、子供の教育等)が期待できるために協力的となったとのシャプラニールの事例は、興味深い。またこれらのNGOの参加は、住民・PO(農民組織など民衆組織)の意見の反映や住民の参加においても有効な接点となる。

 (6)(以下シャプラニール及びNGOの活動に関わる提言としては、)今回、シャプラニールのショミティ活動の一部を学習し評価した。その経験をもって、多種多様なNGOの事業運営に関わる全体的な政策レベルでの提言を作成するのは困難に思えた。プロジェクトレベルでの提言と重なるが、あえて政策レベルで以下のような提言を行いたい。NGOの活動においても、ODAの箇所で述べたように、調査および計画段階が、非常に大事で、この段階での分析、目的設定、目標設定がきちんとできるかどうかが、活動=事業の成否を分けると言って過言ではない。とくに定量的定性的な目標設定が出来ると言うことは、「外側から」の援助や協力を完了し、相手側(地域行政や現地NGO、現地住民組織)への運営移管を行い、引き上げもしくは他の必要とされる地域に動けることにもなる。しかし、計画時の到達目標が明確でなかったり、財政的依存の関係が固定したり、情緒的な相互依存が生まれたりすることは、一般的に言ってNGOの活動においても見られる。日本のNGOの活動において、現在、直接実施型協力とパートナーシップ型(現地NGOあるいはPOをカウンターパートとする)協力のどちらを主として選ぶかが、国・地域や村の状況、現地NGOの活動状況と考え合わせて、問題となっている。一様な結論があるとは思えないが、国際NGO(この場合は日本のNGO)の活動完了=運営移管のイメージとあわせて、各国において問われている。シャプラニールのショミティ(相互扶助のグループ)支援が、1,000を越えるショミティ、20,O00人を越える人々の間で概ね成功し、「下からの」エンパワーメントと収入向上、生活改善に役だっていることを認めた上で、一般的にNGO活動の、地域行政・中央行政への反映、活動している地域の拡大およびそのために

必要な資金・人・支持基盤の拡大が求められる。理想的には、活動国内・地域内で、必要な組織づくり・活動自体が永続するための支持基盤の拡充への展望があってはじめて、「外から」の支援を必要とする構造が解消するのではないか。

参考までに、団の中での議論により見出した諸点を以下に記述する。

  • A.政府開発援助(ODA)に関して

    • 1) 主たる提言

      1. 国別計画を作成することおよび、国別計画作成時におけるNGOの参加。(社会開発の視点の強化)
      2. プロジェクトの計画・実施・評価各段階でのNGOの参加。
      3. 貧困層/女性へのターゲッティングの強化。
      4. ODAとNGOの相互学習・視察の機会の強化、およびそれへのODAの実施機関(JICA、OECF)の参加。
      5. 現地における相互学習(大使館、JICA、OECF、NGO)の強化。
      6. 現地(大使館、JICA、OECF事務所)の意思・情報が東京サイド(本省、JICA~OECF本部)において重視されること。
    • 2) その他の提言

      1. 現場での成果を、バングラデシュ側の政策レベルへ反映させていく視点
      2. 相手国政府の計画・実施・評価の能力の評価
      3. NGOへの資金供与の強化
      4. プロジェクト実施レベルにおける草の根レベルの開発経験者の活用(育成・採用)
      5. ODAにおける相手国政府の「オウナーシップ」の強化(カウンターパートの育成、連携強化)
      6. モニタリング・評価の強化(データ)。事前・事後の経済・社会指標の確定と記録。
      7. よりニードベースのデザインを形成するため、事前調査やプロジェクト形成段階での民間営利企業の影  響力を低減すること。
      8. 現地NGOについての情報収集活動の強化と、そこへの日本のNGOの参加
      9. 現地NGOの能力開発へのODAの支援強化及びそこへの日本のNGOの参加
  • B NGOに関して

    • 計画時および活動開始時における達成目標の明確化と、関連してフェーズアウトスケジュール(運営移転・完了・引き上げへの計画)の明確化。
    • 直接実施とパートナーシップ方式の比較分析
    • 行政との連携を強めること
    • カバー範囲の拡大のための資金的人的裏付けの確保(日本国内)
    • 国内の支持基盤の拡充(活動国内)


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