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第4章 NGOとの共同評価
「NGO・外務省相互学習と共同評価」(バングラデシュ)


(現地調査期間:1997年10月28日~11月8日)


(NGO側)

  • 熊岡路矢 JVC(日本国際ボランティアセンター)代表
  • 長畑誠 シャプラニール(市民による海外協力の会)海外活動担当
  • 穂積智夫 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン・プログラム・コーディネーター

(ODA側)

  • 須田敏彦 農林中金総合研究所研究員
  • アルフレッド仲間 マイク・マンスフィールド・フェロー
  • 安仁屋賢 外務省経済協力局評価室事務官


バングラデシュ地図


〈評価対象プロジェクトの概要〉

プロジェクト名 援助形態 協力年度、期間、金額 プロジェクトの概要
総合的グループ育成プロジェクト
(シャプラニール実施案件)
NGO資金他 80年より継続中 能力育成、サービスの提供および経済的支援を通じた農村貧困層のエンパワメントをH的とする総合的農村開発プロジェクト。約1万2f世帯を755のグループに組織し、これらのグループに対し成人識字学級、補習校での初等教育、各種トレーニング、衛生施設やマイクロ・クレジットの提供等を行っている。
農村開発実験フェーズ2 研究協力 92年から95年 国際事業団の個別専門家派遣の枠組みの中で、京都大学東南アジア研究センターが参加して実施された研究協力事業のアクション・リサーチ・プロジェクト。実験的に小規模な農村開発を行い、調査・分析を行うことにより、農村開発手法のモデル化を図ることを目的とする。
モデル農村開発計画 無償資金協力 92年から95年
91年度、7.23億円
92年度、8.49億円
93年度、4.19億円
94年度、4.76億円
バングラデシュの基本政策に沿いながら、総合的な開発投資を行い、効果的な農村開発のモデルを供することを目的とする。コミラ地域を対象として、生活道路整備、橋梁建設、灌概用水路掘削、農協研修施設整備、小学校改修等に加え、個別専門家1名及び協力隊員のグループ派遣を実施する。


第1章 評価調査の概要


1.1 調査方針

(1) 調査の背景

 1995年4月より年4回のペースで開催されているNGOと外務省との間の定期協議において、「途上国の開発協力活動の現場におけるNGO・外務省の相互学習と評価」が議論される過程で、NGOとODAが類似する分野において双方の援助活動を確認・学習しつつ、今後の協力の方向性を模索するため、バングラデシュにおいて、今回の「共同学習と評価」を実施することが同意された。対象案件として、NGO側の実施プロジェクトからシャプラニールの「総合的グループ育成プロジェクト」、ODAプロジェクトから「農村開発実験(フェーズII)」及び「モデル農村開発計画」が選定され、両者からのメンバーで構成する調査団により、評価調査を実施することとなった。

(2) ODA改革懇談会

 21世紀に向けてODAの抜本的改革と将来のあるべきODAの姿について18回に亘り議論したODA改革懇談会は、その報告書を1998年1月に公表した。本報告書では、国際協力への国民参加、特に個人の自由意思に基づくNGO活動への積極的支援の意義を強調している。それは人間中心の開発の重要性が認識される中、「NGOは、開発途上国の現場で支援対象となる人々と直接関わりながら協力活動を展開している。政府は、開発途上国でこのような直接的な経験を豊富に持つNGOと協力・連携することが望ましい」からである。協力・連携を推進する様々な方途の中、今後の活動としてNGOが政府の評価やプロジェクト形成調査に参加するなど具体的な協力事業の推進が期待されている。今回の共同評価はこのような期待に応えるものである。

(3) 調査の目的

 本件調査は、日本政府及びNGOが実施している農村開発関連プロジェクトについて、それぞれのプロジェクトの成果と貢献度を双方の視点から共同学習することにより、今後の双方の案件形成・実施、援助方針・戦略等にフィードバックしつつ、これを通じてNGOとODAの協力促進を図ることを目的とする。

(4) 調査の方法

 本件調査は、国内事前作業、現地調査及び帰国後の国内事後作業から成り、各調査段階における作業内容は、NGO、ODA関係者各々が調査団メンバーとして、一体となって実施した。また、USAIDから「マンスフィールド研修計画」により派遣され外務省経済協力局において研修を行っているアルフレッド仲間氏を調査団メンバーに迎え入れ、USAIDにおける同氏の経験を調査過程に反映することができた。現地調査は、評価実施にあたり普遍的に使用されている5項目(効率性、目標の達成度、インパクト、計画の妥当性、持続的・自立的発展性)を採用し、メンバー全員の合意により5項目各々の視点を調査対象である3つのプロジェクトに適合するよう細分化しつつ、これに基づき裨益する住民や実施関係者への聞き取り調査を行った。また、現地NGOやNGO担当の経歴を持つバ国政府機関関係者とも協議を行い、今次評価調査の参考とすることができた。

調査団の構成は以下のとおりである。

  • 熊岡路矢 JVC(日本国際ボランティアセンター)代表
  • 長畑誠 シャプラニール(=市民による海外協力の会)海外活動担当
  • 穂積智夫 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン・プログラム・コーディネーター
  • 須田敏彦 農林中金総合研究所研究員
  • 安仁屋賢 外務省経済協力局評価室事務官
  • アルフレッド仲間 マイク・マンスフィールド・フェロー

1.2 調査日程

10月28日 ダッカ着
  29日 大使館表敬及び大使館、バングラデシュJICA事務所関係者との打合わせ
シャプラニール関係者との打合わせ
  30日 バングラデシュ関係政府機関(大蔵省経済関係局次官補)等よりのブリーフィング
  31日 ノルシンティ県ナラヤンプールへ移動
  1日終日 シャプラニールのプロジェクト視察(ショミティー)
  2日午前 シャプラニールのプロジェクト視察(補習授業)
    午後 ベラボ(Belabo)郡の郡役場、畜産開発センター、病院からのヒアリング
    夕刻 コミラへ移動(陸路)
  3日午前 JICAプロジェクト視察(JSRDE:オストドナ村)
  4日午前 JICAプロジェクト視察(JSRDE:パンチキッタ村)
    午後 JICAプロジェクト視察(MRDP:ダウドカンデイ郡)
  5日午前 JICAプロジェクト視察(MRDP:ホムナ郡)
    夕方 ダッカへ移動(陸路)
  6~7日 バングラデシュ各紙記者との懇談会、大使館への報告等、資料整理等
  8日 ダッカ発


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