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パラオ/給水改善計画

(1996年4月コウイチ・L・ウォン国家計画官による評価)

<案件概要>

1. 援助形態 :無償資金協力

2. E/N署名日 :1990年7月18日、1991年10月18日、1992年7月17日

3. 協力金額 :1990年度4.14億円、1991年度4.04億円、1992年度3.73億円

4. 相手国実施機関 :資源開発省公共事業局

5. 協力の内容 :コロール、アイライ地区に浄水を安定的に供給することを目的として、浄水場から貯水タンクヘの配管、既設貯水タンクヘの水位制御設備の設置、大型浄水送水ポンプの設置等を実施。

<評価要旨>

1. 案件の維持・管理状況

 給水システムは資源開発省公共事業局公益事業部水道課が日常業務及び保守を行っており、運転開始以来、大きなトラブルは生じていない。水道課の職員は、送水管や給水管の破損による漏水については処理能力を備えている。料金徴収による収入はシステムの運転・保守経費を下回っており、独立採算制の確立には、利用料金引き上げ、漏水検知等の対応が必要である。また、システム運営上は、給水量が給水地域の住民の必要量を大きく上回っている原因を究明することも必要である。

2. 案件の選定・形成の適正度

 給水システムは、改善以前は1日16時間しか給水できなかったことから、このようなシステムの改善を選択したことは非常に適切であった。また、全体として、案件の予備調査及び実行段階での日・パラオ間の話し合いは十分であった。

3. 当初目的の達成度及び効果

 3期にわたる本案件は、問題及び遅滞なくあらかじめ定められた日程にしたがい実施され、実施以前は1日16時間であった給水時間が24時間になり、消費者への給水量増大という目的は達成されたといえる。本件システムによりパラオ全人口の約80%が裨益しており、24時間給水の普及は、保健衛生の改善、生産性の向上等、社会的・経済的に大きなプラスのインパクトを与えている。

4. 環境への影響/WID(開発における女性支援)への配慮

 環境問題は起こしておらず、逆に、本案件の実施により、水洗トイレを使用する家庭や施設が増加した。

5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア

 給水量が必要量を大きく上回っている原因を究明することが急務である。

(1996年7月~8月にコンサルタント及び業者による調査を実施し、計画水量の約3倍を送水している事実を確認したが、末端水路における大量消費者や大量漏水、日本側工事部分の漏水は確認されなかった。同コンサルタント及び業者は1997年4月に再度調査団を派遣し、日本側工事範囲の漏水調査を実施し、日本側工事範囲に問題がないことを確認した。このまま送水を続けた場合、パラオにとって余計な支出となること、日本側工事範囲に過負荷がかかり、問題を生じるおそれがあることから、原因の究明についてパラオ側に申し入れ中である。)

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