(1995年11月国家開発審議会レオナルド・トスカーノ渉外担当局長
(経済協力担当)による評価)
<案件概要>
1. 援助形態 :プロジェクト方式技術協力
2. 協力期間 :1977年4月~1984年3月
3. 相手国実施機関 :厚生省国立衛生熱帯医学研究所
4. 協力内容 :ウィルス学、細菌学を中心とする微生物研究に関する技術協力。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
機材設置から15年が経過しているが、機材の稼働率は高い(80%)。これは、エクアドル側が細心の注意を払って使用してきていること、協力期間中及び終了後に日本から受けた多大な援助と助言により可能になったものである。他方、研究所幹部の頻繁な人事異動により、研究所の運営に大きな遅延が見られ、その結果、プロジェクトの実施に多少の影響があった。
2. 案件の選定・適正度
本案件の実施により、研究所はエイズ、デング熱、コレラ他の緊急性の高い疫病に対する十分な人材と機材を備えることができたこと、移転された技術・知識は近代的かっ実施が容易なものであり、高精度で専門的な技術を用いた研究活動の実施に役立っていること、その知識は国内の他の関連研究機関の人材育成に寄与しており、さらに、研究会、科学誌の発行等を通じ国内ばかりでなく国外にも普及されていること、並びに実施機関として国内ほぼ全ての州に研究施設を有す本研究所を選んだことにより熱帯病研究が全国レベルで展開できるようになったことを勘案すると、案件の選定・形成は適切であったと考えられる。
3. 当初目的の達成度及び効果
本案件の実施により、研究所はエクアドル側の予算枠では調達困難な近代的・高額の機材を供与され、設備が改善された。また、スタッフは微生物学、免疫学、生化学、病理学等の近代的知識・技術を習得し、また、研究所の活動に対する有効な助言が得られた。日本からのこれら諸援助により、エクアドル公衆衛生に大きな利益がもたらされた。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
本案件において女性技術者は男性技術者と均等の機会を与えられ、様々な分野の女性専門家が養成された。このことは女性の技術管理下にある専門分野の今後の発展にとり非常に有益であった。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
老朽化した機材の更新と研究所スタッフの技術の更新が必要である。
(1996年度の無償資金協力案件として、プロ技協により供与した機材を含む機材の更新を決定。)