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ベネズエラ/癌対策

(1996年3月大統領府経企庁マリア・アレハンドラ・ベルムデス
技術協力局長による評価)

〈案件概要〉

1. 援助形態 :プロジェクト方式技術協力

2. 協力期間 :1982年4月~1987年3月

3. 相手国実施機関 :厚生省腫瘍局

4. 協力内容 :消化器系癌センターの設立及び消化器系癌の早期発見・治療法確立のための技術移転。

<案件要旨>

1. 案件の維持・管理状況

 センターの維持・管理状況は良好であり、稼働・利用状況も良好である。厚生省の交付金のみでは運営資金が不足するため、センターの財政支援団体が組織され、受益者他からの寄附金、バザー等により厚生省からの運営資金とほぼ同額の資金を確保している。現在までの帰国研修員24名のうち22名がセンターに勤務しており、人材の定着率も良好である。

2. 案件の選定・形成の適正度

 センターのあるタチラ州は当国の中でも消化器系癌の発生率が高く、同州の消化器系癌の早期発見及び治療体制の確立のために寄与する本案件の実施は適切であった。また、専門家派遣、研修員受入れ、機材供与を効果的・効率的に行うことにより当国側のニーズを十分に満たすような案件形成となっている。

3. 当初目的の達成度及び効果

 センターは、設立以来現在までに25万件の検査を実施し、750件の胃癌を発見している。専門家派遣及び研修員受け入れにより移転された技術は、プロジェクト終了後も新規採用職員や医師、コロンビア等周辺国の人材にも移転されている。

 センターの設立により最も裨益しているのはタチラ州の35歳以上の住民であり、センターのソーシャルワーカーの家庭訪問及び検診車による診察を通じ、プロジェクトは地域住民に大きく浸透している。

4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮

 放射線管理は十分に行われており、事故は一度も発生していない。また、医療廃棄物処理も焼却炉による処理体制が十分に整っている。

5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア

 技術革新の著しい本件分野の技術を日本の技術協力の様々のスキーム(集団研修コースやセミナー等)により移転していくことができれば、センターの自立発展に大きく寄与できると思われる。

6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に、教訓として活かされるべき事項

 日本側派遣専門家と被援助国側研修生との関係を軸に、プロジェクトに関わる人間関係をプロジェクト終了後もフォローアップ、アフターケア等の機会を通じて構築していくことが重要と思われる。

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