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タンザニア/マラリア抑制計画

(1996年2月ムヒンビリ医科大学ミンジャス教授による評価)

<案件概要>

1. 援助形態 :無償資金協力

2. 協力金額 :1986年度5.00億円、1988年度4.11億円、
          1990年度3.00億円、1991年度3.04億円、
          1993年度6.74億円

3. E/N署名日 :1987年4月9日、1988年8月17日、
           1990年7月10日、1992年4月1日、
           1993年6月21日

4. 相手国実施機関 :ダルエスサラーム市役所及びタンガ市役所

5. 協力の内容 :マラリア抑制に必要な薬剤、機材、車両等の供与。

<評価要旨>

1. 案件の維持・管理状況

 ダルエスサラーム市及びタンガ市で合計900名の人員により活動が実施されている。プロジェクト進行の過程で、殺虫剤の散布は、ハマダラ蚊の減少に比べイエ蚊には効果が小さいこと、財政面からプロジェクトの持続性等の問題に直面したため、現在は成長抑制剤の散布、殺虫剤漬蚊帳の配布等に力点を移している。

 薬品を含む機材は倉庫に適切な状態で管理されているが、実験器具類のうち未使用のまま保管されているものがある。また、古い車両については、JICA専門家の協力を得て保守管理も行っているものの、部品の不足により約半数が修理不能となっている。

2. 案件の選定・形成の適正度

 「ダ」市及び「タ」市はマラリアの罹患率が高い沿岸部で人工集中地域であること、これまで適切な対策がとられてこなかったという点から、案件の選定・形成は適切であった。

3.当初目的の達成度及び効果

 「ダ」市内で殺幼虫剤散布及び土木的方法による発生源除去が行われた地域では、マラリア原虫の陽性率は満足すべき減少を示しているが、「ダ」市当局は余分な人員が多く、予算の6割が人件費に消えるという非能率な運営状態であるため、現在人員の削減が検討されている。 

「タ」市においては、少ない人員で効率的なプロジェクト運営が行われ、陽性率も減少しているものの、都市化が進んでいないこともあり、「ダ」市ほどの成果は得られていない。

4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮

 薬剤配布による悪臭についての苦情が多少出ているが、環境に関する影響は認められない。「タ」市のプロジェクトの人員のうち半数以上(40人)が女性であり、特に衛生士に女性が多い。

5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア

 タンザニア側実施機関の人員削減、運営の合理化を確認してから、草の根無償による資金供与、住民への啓蒙活動や排水路保守等の専門家/青年海外協力隊員の派遣等を考慮するのがよい。

 最近、世銀、英国等もタンザニアにおいてマラリア対策に力を入れ始めた中で、我が国の経験は貴重であり、第二国研修による診断技術の移転、顕微鏡の供与、専門家の派遣等、きめ細かな対応を続けることが望ましい。

6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項

 財源が極端に限られている国においては、殺虫剤の大量使用方法は持続不可能であり、小規模な土木工事等による幼虫対策や、蚊帳の配布等のコミュニティー参加型のマラリアコントロールが有効である。

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