(1996年3月在パキスタン大使館)
経済省ナビール・アーマド・ゴヒール日本課長が参加
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :23.08億円
3. E/N署名日 :1991年12月11日、1992年7月7日
4. 相手国実施機関 :首都圏開発公社(CDA)(連邦内務省直轄)
5. 協力の内容 :イスラマバード浄水場処理の施設改善のための整備。取水ポンプ交換、取水設備改善又は補修、薬品注入装置改善、注入装置改善、流量計設置、排水ポンプ交換、ポンプ盤設置、簡質分析機設置等、8カ所の浄水場を対象に改修整備を行った。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
全般的にみて概ね良好に維持・管理されている。水供給地域内で肝炎が発生し、現在稼働停止中の浄水場も1ケ所ある。検査により安全が確認されたので、近い将来に稼働する見込みである。
2. プロジェクトの選定・形成の適正度
プロジェクトの背景、目的に照らし、本計画の内容は妥当なものであり、その後におけるイスラマバードの給水事情に鑑みれば、プログラムの選定は適正であったものと思料する。また、技術水準・ニーズ等については基本設計調査によって十分認識されており、その後のプロジェクトの実施においては、ほぼ所期の成果を挙げていることから、設備の仕様等の策定についても適正であったと思料する。
3. 当初目的の達成度及び効果
本計画の目的は、イスラマバードの住民生活の最も基本となる飲料水の水質及び給水能力の改善を図ることにより、イスラマバード市民の健康を確保すると共に同市の給水率を上げることにある。これらの目的はほぼ達成されているほか、イスラマバードの生活の改善にも十分に寄与しているものと思料する。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
水質の改善及び給水率の拡大を図ることは、女性の重労働の軽減にもつながることから、本件はWIDそのもののプロジェクトといっても過言ではないものと思料する。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
日本の無償資金協力により供与された機材等を今後さらに数年間現在の状態で維持していくためには、スペア・パーツ等の供給を図ることが必要である。
(本計画実施時に、約2年間分のスペア・パーツを調達している。先方より要請があれは、フォローアンプ協力によるスペア・パーツの調達につき検討することとしている。)
6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
本件は、人類が生活していく上で最も基本的な要素の一つである飲料水の確保を行うものであり、これまで特段の技術協力が無かったにもかかわらず初期の成果をあげている。このように、生活の基本となる協力は、BHNの観点からも極めて重要である。