(1996年3月在パプアニューギニア大使館)
<案件・概要>
1. 援助形態 :有償資金協力
2. 協力金額 :32.55億円
3. E/N署名日 :1978年8月4日
4. 相手国実施期間:パプア・ニューギニア電力公社(ELCOM)
5. 協力内容 :水力発電所建設に伴う資金協力。
<評価・要旨>
1. 案件の維持・管理状況
堰やダム付近においては、河川からの流入土砂量が多く、取水口における堆積した土砂の撤去作業を3ヵ月に1回実施しており、相当の人力、コストがさかれている。このため、本作業中は水力発電を休止せざるを得ず、火力発電(ディーゼル発電)により電力供給を行わなくてはならない。
ELCOM負担工事部分であった送電線については、強度の弱い木柱を使っていたため、1988年頃から電柱の倒壊により送電線事故が多発しており、停電の主因となっている。発電機の状態監視については、2名ずつの3交替制で常時監視しており、メインテナンスについても、1週間毎の点検と1ヵ月毎の点検に分けて良好に定期点検が実施されている。
2. 案件の選定・形成の適性度
プロジェクトの選定・形成については、本水力発電所建設以前は火力発電によりラバウルとケレバットに電力を供給し、常に需要に対応できず停電が生じていたが、建設以後はガゼル半島の大部分の地域に安定した電力が供給できるようになったため、適正と判断できる。
3. 当初目的の達成度及び効果
本プロジェクトにより、ガゼル半島の大部分の地域に安定的電力供給が可能となり、当初の目的は達成され、効果が大きいと判断される。
4. 環境への影響/WID(開発における女性)への配慮
水力発電を当初使用していた火力発電(ディーゼル発電)の代替として使用することにより、その使用量に応じ排ガスを抑制することができる。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
停電対策としては、主因となっている木柱(送電線に使用している)の定期点検の徹底または半永久的に使用できるコンクリート柱などへの更新が必要であり、堰とダム付近に貯まる土砂等の対策としては、土砂等のスクリーニングできるような堰の設置が考えられる。また、乾期においては水量が減り本水力発電の能力を十分に発揮できないため、将来計画として火力発電の増強など新たな施策が必要である。
6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
本件は、我が国、パプアニューギニア、ADB及びノルウェーの協調条件であるが、各国の担当部分ばかりでなく、計画全体を把握できるような体制をつくることが重要である。