(1996年3月在ボリビア大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :14.00億円
3. E/N署名日 :1980年11月13日
4. 相手国実施機関:保健庁・国立公衆衛生専門学校
5. 協力の内容 :准看護婦、臨床検査技師、保健婦等の医療技術者を養成するための専門学校の施設建設(校舎及び寄宿舎)、教育実習用機材(X線機器、臨床検査用機材等)の供与
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
専門学校は地方分権化法の施行(96年1月)後も地方に移管されず、保健庁直営の中間医療技体格養成機関として運営されている。職員数は66(うち医師4、看護婦4、各分野ごとに検査技師が2~3名)、開校以来の卒業生は2,100名(年平均150名)であり、施設及び供与機材の維持・管理状況は概ね良好である。他方、国からの予算配分は十分ではなく、生徒実習も兼ねて行っている検査による収益、国際機関等のプロジェクトの請負等により運営経費を補填している。また、現在の寄宿舎のベッド占有率は3割に満たない。
2. 案件の選定・形成の適正度
ボリビアの医療サービスの現状を踏まえると、本案件の選択は適正であった。他方、本案件において養成するとされた中間技術者の地位が制度的に確立していないなど、案件実施のための体制は十分に整備されていなかった。供与機材については、基礎的機材が整備されており、また、研修内容及び教員のレベルに適合していると考えられる。他方、寄宿舎のベッド占有率が3割程度であることを考えると、寄宿舎の規模設定は必ずしも適切ではなかったと考えられる。
3. 当初目的の達成度及び効果
設立後13年間で准看護婦、臨床検査技師、X線検査技師等5コースの卒業生は合計で2,100名(年平均150名)となっており、全国の中間医療技術者は合計で6,000名程度であることを考えると、その中に占める本校卒業生の割合は相当に高いと推定される。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
在校生・卒業生の9割以上が女性であり、プロジェクトの主たる対象が女性という直接的なWID案件である。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
ボリビア側には医療技術者の地位・給与の改善、医療技術者養成体系の見直し等が望まれる。他方、我が国としては、ボリビア側の改善状況も踏まえつつ、老朽化した機材についての追加支援や技術更新のための専門家ないし青年海外協力隊員の派遣によるアフターケアを行うことが望ましい。
6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
今後の類似案件においては、施設設備の視点ばかりではなく、医療センターの実状(医療技術の数・質・システムなど)や看護学校に対するニーズも含め、十分な事前調査を行うことが必要。