(1996年3月在ブラジル大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :プロジェクト方式技術協力
2. 協力期間 :1984年5月~1992年5月
(フォローアップ:1991年5月~1992年5月)
3. 相手国実施機関:ペルナンブコ連邦大学
4. 協力の内容 :大学に設立される免疫病理学センター(LIKA)における熱帯寄生虫病に関する研究活動を改善するため、東北ブラジルに蔓延しているリューシュマニア症、フィラリア症、トリパノソーマ症等に対する研究能力を改善するとともに、研究者の研究能力の開発等を行う。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
本案件は、全般的に適切に維持・管理がなされている。センターは大学総長に直属しており、管理調整部局を設置して管理・運営に努めている。資金面においても、大学からの予算の他、研究者独自で研究資金を調達している。また、供与機材は、適宜修理が行われ、ほぼ100%稼働している。
2. 案件の選定・形成の適正度
東北ブラジルの重要課題である熱帯病に対する基礎研究支援プロジェクトであり、当該地域の地域発展に資する適正な条件であった。ただし、プロジェクトが軌道に乗るまで2年を要しており、プロジェクト形成段階で更なる調整が必要であったと考えられる。また、供与機材に当地で修理が困難な機材が含まれており、現在修理できず使用されない状況にあることから、機材の選定において配慮すべきであったと判断される。
3. 当初目的の達成度及び効果
プロジェクトのカウンターパートもほぼ100%定着しており、現在では、相当額の研究活動費を獲得できる状況になってきている。また、研究論文発表数も年々増加するとともに、センターで研究する研究者も増えつつあり、研究者の育成機関としての役割も果たしてきている。さらに、研究成果は地域の医療活動にもフィードバックされている。このような状況を踏まえると、センターはブラジル国内における熱帯病研究のセンターとして認知されつつあると考えられる。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
特になし。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
積極的なフォローアップ、アフターケアの必要は感じられないが、第三国研修(本年度から実施)の機会、単独機材供与等を通じ、老朽化ないし陳腐化した機材の更新を支援することも考えられる。
6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
現地で修理困難な機材の供給はプロジェクトの自立的発展の障げとなり得るので、機材選定時に十分配慮することが必要である。