(1996年3月在パラグアイ大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :1990年度6.21億円、1991年度4.28億円
3. E/N署名日 :1990年7月3日、1991年7月26日
4. 相手国実施機関:農牧省
5. 協力の内容 :取水施設による灌漑用水の確保、灌漑水路の新設、農道の改良及び飲雑用水等の施設整備と、これら諸施設の運用・維持管理を円滑に進めるための機材・施設の供与
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
プロジェクトの維持・管理は、地域の代表によって選出された「水・道路管理委員会」により行われている。維持・管理費は、水道料金及び道路分担料金(道路に面した地主が負担)によって賄われており、独立採算を実現しつつ、良好に維持・管理がなされている。
2. 案件の選定・形成の適正度
本案件のサイトは深刻な水不足問題を抱えていた地域であり、勤勉な日本人移住地を含む地域でもあったことから、案件そのものは、非常に成功している。但し、日本側の予算上の理由により開発調査時よりも規模が縮小して実施されたことから、灌漑施設が整備されなかった地域への拡張が強く望まれている。
3. 当初目的の達成度及び効果
灌漑を敷設したことによる効果は天候にも左右されるため定量的に把握することは難しいが、昨年度の干ばつ時には、灌漑を敷設した農家は良質な野菜が生産できたが、灌漑を利用していない農家は全く収穫できなかった。
利用者は自らの資金で配管しなければならないため、経済的理由により灌漑を利用していない農家もあるが、灌漑用水は水源能力の限界近くまで利用されていること、モデル事業として政府、研究機関、学校、国内農協から多くの見学者が訪れていることなどから、本件の当初目的は充分達成できたものと思われる。尚、地元農協と我が国専門家(短期)による技術研究・普及努力が本件灌漑施設の利用促進に貢献した。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
取水源地域の保水のため、「水・道路管理委員会」と市が協力して同地域の一部を買い取り森林を保護する他、地元農協が土地所有者に対し、養蜂等の森林を伐採しないで収益を得る方法の指導等を行っている。
また本案件により、女性の水汲みの負担が改善された。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
現在のところフォローアップの必要はない。しかし、開発調査段階からの規模の縮小によって裨益者となれなかった住民から施設の拡張への強い要望があること及びプロジェクトが円滑に運営されていることに鑑み、可能であれば追加の無償資金協力が望まれる。
6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
農村整備のような施設条件を実施する場合には、技術協力との連携と確実な実施機関の存在、及び農協や地方自治体の協力を得られることが重要である。