(1996年2月在トリニダード・トバゴ大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :7.38億円
3. E/N署名日 :1993年1月26日
4. 相手国実施機関:農業・土地・漁業・森林省
5. 協力の内容 :デナリーにおける零細漁業振興のための漁港インフラ施設及び関連施設の建設、FRPタイプの漁船及び漁具等の供与
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
常勤の4名の職員、水産局からの1名のスーパーバイザーに加え、盛漁期に当たる12~7月間はカストリーズ魚市場から派遣される2名の出向職員により、順調に運営されている。
2. 案件の選定・形成の適正度
生産性を高める魚供給基地としての条件を満たしており、当該地域の生活水準の向上に寄与するのみならず、同国の経済発展にも貢献する等、案件の選定・形成は適切であったと認められる。
3. 当初目的の達成度及び効果
本案件の目的は、漁業環境に恵まれたこの地において近代装備によってより漁業を活性化させ、同時に漁獲物の品質を落とさず大量消費地等へ供給させることである。デナリーでは着実に漁船数も増え、水揚げの伸びも徐々に向上しており、所期目標は十分達成している。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
環境に関しては、同施設から流出する汚水や物質は、港外へ下水道が導かれており、汚水の排水量の少ないこともあるが、港内及び付近が排水によって汚染されることはない。またWIDに関しては、以前は、水揚げされた魚類を主に主婦達が道ばたや行商等で売り歩いていたが、同施設ができてからは、デナリー・コミュニティが一括して買い上げるため、その労力を必要としなくなり、その分その他の活動に時間が割けるようになった。
5. 今後必要とされるフォローアップまたはアフターケア
本案件施工者が、現在他の地域で進められている案件の施工者であることから、これまでに生じた問題(水質が悪いことに起因する製氷機の低下、海風による漁民ロッカーの劣化)については、同施工者が率先して対応措置を講じてきているが、現在進行中の案件終了後はフォローアップにつき検討することが必要になると考えられる。