(1996年3月在イエメン大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :1989年度5.40億円、1990年度6.63億円
3. E/N署名日 :1989年6月18日、1990年度6月26日
4. 相手国実施機関:通信省公共通信公社
5. 協力の内容 :地方の社会経済開発の柱として、5州に電話通信網を敷設。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
全般的に良好。基地局はコンピューターを利用し通信ネットワーク状況を把握し、各端末局は公共通信公社からの委嘱職員が配置され、機器の維持・管理、電話料金の徴収業務を滞りなく行っている。
2. 案件の選定・形成の適正度
端末局が設けられたところは、いずれも交通手段、道路状況とも劣悪な水準にある片田舎である。日本の技術力が郵便サービスの恩恵も受けない陸の孤島的な集落を外と結んでいることには、大きな意義が認められる。
3. 当初目的の達成度及び効果
電話の敷設により商店経営や流通業等の新たな商業活動が生じ、過疎化の流れが食い止められている事例が見られる。また隣国のサウディアラビアへ出稼ぎ中の家族との心のつながりの維持や、地方における保健医療サービスの向上にも役立っている等、イエメンの恒常的課題である地方開発に大きく貢献している。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
特になし。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
必要に応じて、商業経路では通常、入手困難なスペアパーツの供給や公共通信公社の技術職員の再訓練を行うことが望ましい。
6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
被援助国による機器管理が適切に行われることが、この種のプロジェクトが成功する要因の一つである。