(1996年3月在パキスタン大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :11.87億円
3. E/N署名日 :1990年6月27日
4. 相手国実施機関:工業技術院ラホール研究所(連邦教育省直轄)
5. 協力の内容 :パキスタンの工業の発展を推進するために、食品・発酵部門、応用化学部門、鉱物・治金部門及びガラス・セラミック部門に必要な広範囲な研究機材の供与を行い、同研究所の研究レベルの向上に寄与する。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
全般的にみて概ね良好に維持・管理されている。しかし、応用化学研究部門や発酵研究部門等の特に高度で専門的な技術を要する研究機材が、資金不足等の理由によりスペア・パーツ等の調達が困難なため、一部の研究機材が稼働していないものが散見された。
2. プロジェクトの選定・形成の適正度
プロジェクトの背景、目的に照らし、本計画の内容は妥当なものであり、その後の研究所の発展に鑑みれば、プログラムの選定は適正であったものと思料する。また、技術水準・ニーズ等については基本設計調査によって十分認識されており、その後のプロジェクトの実施においても特段のトラブルもなく、かつ所期の成果を挙げていることから、機材の仕様等の策定についても適正であったと思料する。
3. 当初目的の達成度及び効果
本計画は、パキスタンの経済発展のために必要な重化学工業等、高度技術産業の強化を図るため、国家的技術レベルの向上と研究者の育成にとって欠かせない研究・教育施設の設備拡充と、質的向上を図ることにある。これらの目標の達成のため、研究者数、研究テーマ数、新合成物、抽出物発見数、研究論文の出版数等はほぼ目標に達成している状況である。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
本研究所は、研究者及び研究補助者を含む246名のうち、女性は36名採用されており、その率も毎年増加している。その意味で本件はWIDの進展に資すると判断される。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
現在の稼働状況からみて、今後さらに数年間現在の状態で維持していくためにはスペア・パーツ等のフォローアップが必要と思われる。