(1996年3月在ミャンマー大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :1981年度8.30億円、1985年度26.90億円
3. E/N署名日 :1981年10月30日、1985年7月2日
4. 相手国実施機関:内務宗教省総務局(現在は、国境地域開発省開発局が担当)
5. 協力の内容 :ミャンマーの11都市において、深井戸による飲料水を開発、供給する(ポンプ、変電施設、貯水槽、高架水槽、導水管、配水管などを建設)。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
今回現地調査を行ったすべての地域で、飲料水プロジェクトは十分に維持されかつ使用されていた。しかしながら、電力事情等から、給水時間が制限される等の問題を抱えている。
2. 案件の選定・形成の適正度
今回調査したいずれの地域も、降水量が限定されており(マグウェ、パコック、ピョーボエ、ヤメディンは乾燥地帯)、清潔な水へのアクセスが限定されていた地域であり、本計画の効果は大きく、プロジェクトの選定、形成は適正である。
3. 当初目的の達成度及び効果
住民の保健衛生・生活向上に直接稗益するプロジェクトとして住民からの評価も高く、当初の目的を十分に達成していると評価できる。
ただし、当国の貧弱な電気事情のために、当初計画どおりの給水時間を達成できていないという課題を有している。また今後、人口の増加と電源へのアクセス増加に伴い、本問題が一層悪化することも懸念される。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
環境への影響はない。主として女性の仕事とされていた水くみからの開放はWIDの観点から十分に評価できる。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
特にポンプについて、故障やスペア・パーツの不足があり、無償資金協力等によるリハビリテーションが必要であると考えられる。
(平成8年度のフォローアップ協力により、緊急に必要と考えられるポンプ等のスペア・パーツにつき資機材購送を実施。)
また、本計画が実施された地域以外にも、乾燥地帯等で都市飲料水を必要とする地域が数多くあり、これらの地域への同様の援助が必要であると考えられる。
(1995年、「都市飲料水開発計画フェーズIII」として16都市の飲料水開発プロジェクト(要請金額:32.6億円)に関する無償資金協力要請が提出されている。)
6. 将来他のプロジェクトを実施する場合に教訓として活かされるべき事項
ポンプ関係のスペア・パーツを、予め当初供与額の中に含めておくことが必要。また、マネージメント面も監督できる専門家の派遣が必要と思われる。