(1996年3月在マレーシア大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :有償資金協力
2. 協力金額 :1981年度336.00億円、1985年度47.97億円
3. E/N署名日:1982年2月4日、1986年2月26日
4. 相手国実施機関:ASEANビンッル肥料会社(ABF)
5. 協力の内容 :ASEAN工業化プロジェクトの一環として、サラワク州ビンツルの沖合約160キロメートルに散在するガ田より産出される天然ガスを原料とした肥料工場をビンツルの北東約25キロメートル地点に建設し、製品尿素及び一部アンモニアを、主としてマレイシア国内及びフィリピン、タイ等ASEAN儲国に低廉かつ安定的に供給する。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
本事業は、計画・実施主体であるABFにより、引き続き維持・管理が行われているが、ABFについては、経営状況が良好なマレーシア国策石油会社ペトロナスが63.5%を出資している上、その他の持分についても、タイ大蔵省(13%)、インドネシア政府(13%)、フィリピン政府(9.5%)等ASEAN各国の政府が出資しており、これらの企業及び政府をメンバーとする取締役会によって、安定的な経営管理が行われている。
2. 案件の選定・形成の適正度
本事業開始以前のASEAN諸国の尿素需給状況については、当初インドネシアのみが生産可能であり、マレーシアをはじめとする他のASEAN諸国は、インドネシア等からの輸入に全面的に依存していたが、低廉かっ安定的な供給は得られなかった。しかしながら、マレーシアの豊富な天然ガス資源を利用した本事業の開始後、ASEAN諸国全体に対し、尿素の十分な供給が可能となったことから、案件の選定は適切であった。
3. 当初目的の達成度及び効果
製品の生産状況をみても、1991年に20%増産のための拡張投資を行ったため、当初目的(アンモニア330千トン/年及び尿素495千トン/年)を、現在では大幅に上回る生産(各々402千トン/年、603千トン/年)を達成している。尿素市況は引き続き好調であり、今後とも世界の需要に対して、堅調な生産・供給が行われるものと考えられる。
4. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
特になし。