(1995年11月在フィリピン大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :14.78億円
3. E/N署名日 :1993年8月16日
4. 相手国実施機関:保健省
5. 協力の内容 :ビセンテ・ソット記念医療センター外来棟の建設及び医療機材の供与。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
エックス線透視装置の設計上の設置レイアウトが使用しにくい形になっていることや、付属品の欠如、試薬の予想以上の消耗の早さ等の理由により、一部の検査機器等が使えない状態にある。これらはいずれも改善可能な問題点であり、これらを除けば概ね良好に機能している。
2. 案件の選定・形成の適正度
当該病院は地理的にビサや地方の中心であり、患者需要も大きいことから、本件援助の選定及び形成は短期的な視点からは十分に適正であると言える。しかしながら、富裕層が私立病院へ行く一方、公立病院には医療費の支払い能力のない貧困者が集中するため、公立病院の財政は常に赤字に悩まされていて、長期的には同病院の持続可能性を損なう危険性がある。適切な医療保険制度の導入・普及と、貧困者を受け入れても公立病院が赤字を抱えずに健全に運営していけるような診療報酬体系の見直しこそが、フィリピン保健当局及び議会が真剣に取り組まねばならない今後の課題である。
3. 当初目的の達成度及び効果
現時点では周辺住民は本件外来棟建設による利益を受けており、また、医療従事者の研修の場としても十分に機能していることから、前述問題点を除いて所期の目的は達成している。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
特になし。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
早急なる透視エックス線装置のレイアウトの変更と、不足機材(本来付属すべきであった機材)の調査及び補充が必要である。(エックス線透視装置のレイアウトについては補修済みであり、不足機材についても補充済みである。)