(1996年1月在フィリピン大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :開発投融資
2. 協力金額 :0.80億円
3. 承諾日 :1991年12月4日
4. 相手国実施機関:アルバイ農産業開発会社
5. 協力の内容 :アバカ(マニラ麻)の新規用途開発に不可欠な現地条件に合った品種選定、栽培技術確立のための試験事業の実施。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
本部建物及び試験室、訓練センター、現場事務所、料理洗濯用建物など本件事業により整備された施設はいずれも良好に維持・管理されていた。また、訓練センターの維持・管理に関しては、訓練を受ける研修生の所属機関から必要最小限の実費を徴収して維持・管理に当たっているとのことであったが、限られた収入の中でよく維持・管理されているとの印象を受けた。
2. 案件の選定・形成の適正度
本件投融資事業は、(1)フィリピンの中でも生活水準が低位にとどまっているアルバイ州において、当地の伝統産物でありながら衰退の一途をたどっていたアバカ栽培の再活性化を図ることが関係各方面より期待されていたこと、(2)アバカ栽培の活性化、更にはフィリピン農業の一層の振興に情熱を燃やす田鎖浩氏を始めとした関係者が当該地域にそろっており、本件事業の実現に不可欠な人材が確保されていたこと、等を背景として選定・形成されたものであり、適正であったと思われる。
3. 当初目的の達成度及び効果
ビコール地方はフィリピンを代表するアバカ栽培の主要生産地でありながら、生産性の水準はきわめて低く、地域農民の農営意欲も低位にとどまっていた。しかし、この試験事業の実施により、ビコール地方の気候条件に相応しいアバカ品種の選定、施肥・庇陰樹との組合せなどの栽培技術が提案されることにって、アバカ栽培の生産性向上に大きく貢献し、ひいては地域農民の所得水準の向上に資するものと思われる。
4. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
今後、本件事業の結果を踏まえ本格事業に移行し、多数の零細農民がアバカ栽培を手がけようとする場合、土地の確保、苗や肥料の入手等の一定額の初期投資が不可欠である。このような所要資金の確保に関して零細農民に対する何らかの支援策の検討が必要である。