(1995年11月在中国大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :1990年度9.81億円、1991年度9.03億円
3. E/N署名日 :1990年7月4日、1991年7月1日
4. 相手国実施機関:長春市公用局
5. 協力の内容 :長春市の水不足に対処するため、既存の施設の改修を含め最大処理量12万m2/日の施設を建設し、長春市全体の処理能力を55.6万m2/日に向上させる。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
長春市は本浄水場の維持・管理に力を入れ、可能な限りの努力を払っていると思われるが、設備の老朽化に伴い故障が発生しやすくなっており、一部設備は未稼働の状況である。これらの部品等は中国国内での調達は難しい上、資金不足のため日本から部品等を調達することも困難な状況である。
2. 案件の選定・形成の適正度
長春市の水不足の緩和に寄与するとともに、水質の向上にも効果をあげており、案件の選定・形成は適正であった。
3. 当初目的の達成度及び効果
給水能力の増大により、当時における水不足を緩和することができ、当初目的は達成され、同時に水質の向上に大きな貢献をしている。他方、長春市の都市化に伴う水需要の増大は新たな水不足の問題を生じている。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
本件がいわゆる環境案件であり、特に飲料水の水質改善や食品加工に役立っている。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
本浄水場は建設以来8年が経過し、老朽化等の問題が発生している。長春市は、維持・管理に努力しているものの、技術的・資金的に限界があり、新たな援助を要望している。日中友好の象徴としての意義を有する本浄水場が今後ともスムーズに稼働できるよう、我が国としても何らかの措置を講じていく必要があると思われる。