(1995年4月在ベトナム大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :無償資金協力
2. 協力金額 :1971年度2.20億円、1972年度2.27億円、1973年度O.90億円
3. E/N署名日 :1971年11月27日、1973年2月9日、1974年2月13日
4. 相手国実施機関:社会省(ベトナム共和国:旧南ベトナム)
5. 協力の内容 :1960年代末期当時、ベトナム戦争の戦況悪化に伴い、戦争孤児の数が増加している。これら孤児の救済及び更正を図るために、全寮制の職業訓練センター(農業・機械・電気・木工の4学科、生徒数400名)を建設し、職業訓練のための機材を供与した。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況
同センターは、75年のサイゴン陥落後ドンナイ省の共産党の学校として利用されていた。93年、同センターは再び孤児センターとして利用されており、ドンナイ省労働・傷病兵・社会事務所が管理している。現在、施設には138人の孤児が生活し、職員41人が生活、教育、職業訓練等を行っている。施設は約20年を経過しており、老朽化が著しい部分も見受けられるが、昨年度の郵政省ボランティア貯金等により施設の改修を徐々に実施しており、各施設とも清掃も行き届いており、維持管理も良く実施されているという印象を受けた。ただし、南北統一後、供与された機材はいずれかに運ばれ、現在は存在しない。
2. 案件の選定・形成の適正度
プロジェクト自体は実施当時、当初目的に沿って成果を挙げたものと思料される。歴史経緯から適正度の判断は困難である。
3. 当初目的の達成度及び効果
本案件は、歴史的背景で、南北統一後共産党の学校として利用されていた点という意味では当初目的は達成されたとは言えないが、93年より孤児のための施設に戻され、施設の改善にも日本の関係者が係わって進められていることは結果的には良い方向に進んでいる。
4. 環境への影響/WID(途上国の女性支援)への配慮
特になし。
5. 今後必要とされるフォローアップないしアフターケア
実施後20年を経過しており、現在のベトナム側の計画の実現のためにも施設の改善、訓練機材の供与等を行う必要はあると思料される。ただし、昨年郵政省ボランティア貯金の資金等が供与されていることもあり、その成果を見きわめつつ検討することが適当であると思料する。