(1996年3月在インドネシア大使館)
<案件概要>
1. 援助形態 :有償資金協力
2. 協力金額 :98.00億円
3. E/N署名日 :1977年8月13日
4. 相手国実施機関 :公共事業省資源総局
5. 協力の内容 :ソロ河上流のウォノギリ地方の灌漑施設の建設に対する融資。
<評価要旨>
1. 案件の維持・管理状況灌漑施設の維持・管理は全体的には良好であるが下記のような改善すべき点がある。
(1) 一部の幹線および2次水路で崩壊箇所が認められる。関係者の説明によると州公共事業部の予算の制約から十分な対応がとれないとのことである。崩壊箇所は黒色粘土(Black Clay)の切土部分で多くなっている。
(2) 村単位の農民組織による3次水路の維持・管理をより充実させる必要がある。
(3) 一部の幹線および2次水路からのポンプによる盗水がある(1,700ヘクタール)。この盗水の存在は灌漑地域下流部の用水不足、農家の不満を生じさせている。その結果、村単位の農民組織による3次水路の維持管理意欲を低下させている。
(現在盗水対策として、県の灌漑局が盗水を行っている農民に対し、水利組合への加入(計画配水の下での営農と水利用料の支払い等)を指導しており、違法な水利用の削減に努めている。)
(4) 取水堰建設位置より上流部のソロ河に滞砂が生じ、取水工の機能低下が一部に認められる。
(これに対し、州政府は堰上流部に堆積した土砂の除去を行う等改善に努めている。)
(5) スペアパーツ不足から一部の通信設備(無線設備)が機能していない。
2. 当初目的の達成度及び効果
本事業により灌漑が開始されて以来、灌漑面積が順次拡大してきており、作付率、収量とも計画目標を上回っており、本事業による効果が発現している。
3. 今後必要とされるフォローアップ
用水計画や水源計画の見直しが行われていないため、灌漑計画の基準年(1967~1968年)の渇水確率(7分の1)が低下していると判断される。このため、これまでのウォノギリダムの運用結果から得られた灌漑計画の基本に係る各種の実測、調査データを計画にフィードバックすることによって、灌漑効率向上対策、水源増強対策を検討し、灌漑事業計画の最適化を図っていく必要がある。