(1) 人員の拡充
大使館及びJICA事務所においては、カウンターパートの確保、治安上の問題等、種々の問題を抱えながらも現在の要員で可能な限りの業務が実施されている。しかし、カンボジアにおいては、今後とも(イ)案件の増加に伴う援助実施にかかる業務の増加、(ロ)安全確保、(ハ)ドナー等他の援助実施機関との調整・情報提供、(ニ)援助実施地域の拡大等、今後も更なる業務量の増加が見込まれることから、可能な限り人員整備などを行うとともに、大使館及びJICA事務所の足腰を強化することが必要である。
(2) 基礎データの整備
世帯調査、所得、教育レベル、社会・経済サービス状況など、基礎データが不足している。案件の効果的、効率的実施及び案件実施後の評価に役立てるためにも基礎データは必要であり、その収集・整理を支援する必要がある。
食糧増産援助プログラムにより供与された、化学肥料、農薬、給水ポンプ、農業機械等の一部が売れ残っている。食糧増産援助の実施に際しては、十分な現地情報の収集・分析が必要である。
(3) 事業活動費の予算化
プロジェクトのモニタリング、実施後の評価及びフォローアップ等を効果的に実施するためには、事業活動費の増額が必要である。特に第三国の専門家やコンサルタント等を活用できる事業活動のための予算拡充を積極的に検討すべきである。
(4) 他のドナーとの連携
援助効率の向上と援助コストの効率化のためには、他のドナー及び国際機関と援助の分野・実施地域等援助実施にかかる連携・調整が重要であり、日本は、引き続き他のドナーとの連携・調整に努める必要がある。また、日本が有する知識及び経験を他のドナー及び国際機関の案件にも役立てるためにも情報の共有を更に進めることが必要である。
(5) NGO等の活用
日本は、NGO等を通じた援助を徐々に拡大しつつあるが、今後は更にNGOとの連携を強化するとともに、NGO等の有する知識及び経験を活用することが課題である。また、人材不足等による運営上の問題を抱えるローカルNGOを支援することも必要である。