(1) 低い国民所得
長期にわたる内戦は、インフラの破壊、農村の荒廃、人材不足など多くの問題をもたらし、経済の発展を困難にした。また、97年の武力衝突による外国からの援助の減少及びアジア経済危機は、カンボジアの経済に深刻な影響を与えた。現在、経済は徐々に回復しているが、国民一人あたりの国内総生産は、僅か286米ドル(1999年度予想値)であり、依然として最貧国のひとつとなっている。
(2) 歳入・事業予算の不足
カンボジアの財政基盤は、低い国民所得、輸出入管理や税制度の未整備から極めて脆弱であり、歳出に比べて歳入が大幅に不足している。大幅な歳入の増加を早急に実現することは難しく、当面は、公共事業の税源をドナーからの援助に依存せざるを得ないと思われる。付加価値税導入など歳入の増加に向けた努力が行われているが、現在の主要な歳入源である関税収入は、カンボジアのASEAN加盟による域内関税の引き下げで大幅な減収が見込まれている。
(3) 遅れている民間資本の形成
民間資本の形成は著しく遅れており、大規模事業は行われていない。主要産業である農業以外には、商業、修理業、製造業が中心となっているが、いずれも零細規模である。民間資本の形成には、今後もかなりの時間が必要と思われる。
(4) 低迷している外国投資
人材不足、コスト面など近隣諸国との比較優位がないこと、不安定な政情及び治安の問題等から、近年発展が認められる縫製業を例外として、外国からの投資は、依然として件数及び規模ともに低迷を続けている。