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第6章 カンボジアの援助実施体制の現状及び問題点


1. 人材不足

(1) 絶対的(質的・量的)人材不足をもたらしている来歴

 カンボジアでは、(イ)フランスによる植民地支配では主としてベトナム人を用いた統治が行われため、管理能力のあるカンボジア人が十分に育っていなかったこと、(ロ)クメール・ルージュにより多くの知識人が殺害されたこと、(ハ)プノンペン政権による統治後も十分な教育が行われなかったこと、などを主な原因として絶対的(質的・量的)に人材が不足している。この極端な人材不足は、ほとんど全ての問題の根源となっているので、カンボジアが発展に向けた第一歩を踏み出すためには、早急に取り組まなければならない最大の課題である。

(2)  カウンターパート確保の難しさ

(イ)カンボジアでは絶対的(質的・量的)に人材が不足していることから、政府機関の職員であるカウンターパートについても、一般に実務能力が不足している。
(ロ)給与が少ない上に遅配も多いため、公務員の多くは、生活費を稼ぐため副業をせざるを得ないのが実状となっている。それ故、ドナーの中にはカウンターパートを確保し、援助の効果的・効率的実施を確保するための暫定措置として給与補填を行っているところもある。

(参考:プノンペンでの平均的な家族の1ヶ月あたりの生活費は、少なくとも100米ドルは必要と言われているのに対し、平均的な公務員の1ヶ月あたりの給与は、20米ドルにも満たない上、給与の遅配も多い。)

(3) ローカルスタッフの確保の難しさ

 絶対的人材不足のため、優秀な人材を確保することが難しい。また、優秀な人材確保のための金額競争が激しく、給与格差が広がっている。


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