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3. カンボジア側の評価

 カンボジアへの日本の支援は、トップドナーとして大きな貢献をしてきた。カンボジアは20年に及ぶ内戦で全てを失ったことから、道路・通信・電力等経済インフラの整備とともに医療・保健・教育地雷除去等幅広い分野にわたって協力を実施してきている。それだけに、カンボジア側の日本の援助に対する期待は大きいと言える。

(1) 我が国ODAへの理解

 我が国の支援プロジェクトは規模が大きく、また無償の支援であったこともあり、なおかつ、専門家・コンサルタントによる技術移転についても手厚く配慮されていることから、カンボジア側からの評価は高い。また、我が国の専門家、大使館、JICA等の努力により、各省庁とのネットワークも着実に構築されつつあり、他のドナーに比べて我が国のODAシステムについての理解度は格段に増したと評価されている。

(2) 援助アプローチ

 一方、我が国が借款を開始するに当たって、カンボジアにとって債務管理は最大の懸念材料であることから、その面でのキャパシティビルディングが求められている。マクロ経済でのサポートは世銀、IMF、ADBが中心となって実施されているが、国際機関はレポートを作成するが、アクションプランについてどのように実現するかのノウハウの移転が十分でないとカンボジア側は批判している。この点我が国の専門家派遣、研修員受入事業では、ある程度長期にわたる技術移転スキームに重点を置き、日本人による具体的な手を取った技術指導が高く評価され、今後更に計画立案の中心となる経済財政省、計画省、カンボジア開発評議会(CDC)等プランナーレベルのスタッフにも指導が及ぶことが求めらている。

(3) 援助姿勢

 また各ドナーはそれぞれ援助方針を定め実施しているが、崇高な哲学もカンボジアの実情にあわないことも多々生ずる。我が国は専門家をはじめ、長期の経験に基づき事情を理解しようという姿勢があり、カンボジアの意向を出来るだけ受け入れる体制があることも好感を持たれている。特に、実践的な技術移転の要望を実現化するために、専門家・コンサルタントによるオン・ザ・ジョブ・トレーニングを重視していること、更に研修生の派遣先として、日本のみならず、近隣諸国へも機会を提供し、第三国研修の形で多くのカンボジアの人材が育成されていることの評価は高い。

(4) 地方への展開

 長い間、地方での治安状況の懸念があり、我が国の援助はプノンペン周辺に集中してきた。上記の通り、こうした日本の援助は高く評価されてきたが、他方この点の方針転換を求める要望が多くのセクターで出された。すなわち、地方のインフラ整備に関しての要請、保健医療分野で我が国の専門家による地方での医療スタッフの指導、経済活動の地方への広がりに応じた職業訓練活動の地方への展開等である。その第一歩としては、地方視察の拡充により、多くの専門家に国全体の状況を理解してもらうことを求めており、今後の支援地域の拡大について前向きな検討が求められる。


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