新開発戦略(正式名称は「21世紀に向けて:開発協力を通じた貢献」)は、日本が取りまとめに主導的な役割を果たし、1996年5月に経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)上級会合で採択されたものである。過去50年の開発援助の経験を分析し、その国際社会に果たした役割と今後の必要性についてまとめているが、中心的な考え方として次の3点を提唱している。すなわち、
1) | 開発途上国が自らの開発に第一義的責任と役割を果たすオーナーシップ(主体性)、その上で途上国と先進国が協力するパートナーシップ。 |
2) | 開発援助のみならず、貿易、民間投資などを含めた政府、そして民間企業、NGOなど広範な活動を視野に入れた包括的アプローチと、個別の国の事情に応じた個別的アプローチ。 |
3) | 開発のビジョンを明確にするため、貧困、教育、保健、環境の各分野での成果重視の開発目標を設定。 |
<経済的福祉>
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また他の先進国との援助協調も、新開発戦略の重要な要素の1つとし、援助の重複を避け、限られた援助資源を効果的に投入できること、各援助国がもつ経験や能力を組み合わせることで効果的な援助が実施できることを目的とし、カンボジアでもその実践を目指している。日本は、現地での援助協調の枠組み強化などに積極的に取り組む必要性が求められている。カンボジアはDAC新開発戦略具現化のための重点国として、国際協力事業団のDAC新開発戦略援助研究会の国別検討対象国に指定され、次の図に示されるような提言がまとめられている。
図 3-2 提言-我が国の対カンボジア援助のあり方