外務省による評価の目的は以下の3項目に集約される。
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評価の結果は、将来のODA事業の質的向上を目指して利用されることを念頭に置いている。すなわち、評価は、過去の失敗を問いただすためのものではなく、過去の成功および失敗から得た教訓を基礎にして、将来のより効果的・効率的なODAを目指す、建設的な視点に立脚したものである。
ODA事業は、政治的、経済的、社会的、文化的に多様な環境下にある被援助国と協力して行われる事業である。したがって、日本及び被援助国の関係機関が、双方を取り巻く多様な環境を理解しながら、その上で、効率的・効果的な協力を行わなければODAは最大限に活かされない。また、自然条件の変化、政治・経済情勢の変化等の予測不可能な外部条件による阻害により、ODAの成果を最大化できない場合もあることが評価結果から明らかにされている。
同時に、多様な環境下において、計画策定・実施されたODAにおいて、問題点のみならず様々な成功点も明らかにされており、それぞれ類似の環境へ適用することも、問題点を解決するのと同様にODAの質的向上を図る上で、重要な要素となる。
こうしたことから、外務省は、評価によりODAにかかわる多様な成功要因や問題点を明らかし、フィードバックを通じて、成功点は将来の計画策定・実施に適用し、問題点はできる限り解決していくことで、評価結果が今後のODAの質的向上に効果的に活かされるように、建設的に取り組んでいる。
また、評価結果を公表することにより、ODAの実態や成果を明らかにして、国民のODAについての理解を促進するとともに、評価によって明らかにされたODA事業の難しさや問題点について、国民とともに考える姿勢で、その改善に努めている。
実施機関であるJICAおよびOECFも、同様に建設的な視点から評価を実施してきている。評価の目的も、評価結果から導き出された教訓のフィードバックを通じて、今後のODAの質的向上を図っていくという点で、共通している。
しかし、外務省とJICAおよびOECFは、政策部門と実施部門という組織的役割の違いから、外務省は、ODA全体を評価対象とし、JICAは技術協力および無償資金協力を、OECFは有償資金協力を対象としている。また、外務省は、ODA政策への反映、国民へのアカウンタビリティー(説明責任)を示す必要性が高いが、JICAおよびOECFは、国民へのアカウンタビリティーの確保に加えODAの事業実施にかかる改善を図ることに重点を置いている。
実施機関による評価の目的
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