本報告書は、ODAの事後評価を取りまとめたものである。今年度は、ODA事後評価活動の全体像をわかりやすくするため、外務省に加え、国際協力事業団(JICA)および海外経済協力基金(OECF)による事後評価の活動と結果も含めた。
現在、ODA事業に対して実施されている評価の形態には、活動終了前後に行われる「終了時評価」と活動終了後一定期間を経て行われる「事後評価」がある。本報告書では、上記の三機関が共通して実施している「事後評価」の結果のみを取りまとめた。終了時評価については、JICAのみが実施してきており、本章の「評価の実施体制」の節で、その位置づけについて簡単に触れるが、その他の章には含まれない。
なお、各実施機関は、それぞれ評価報告書を公表しており、JICAは「事業評価報告書」に「終了時評価」および「事後評価」の結果を、OECFは「円借款案件事後評価報告書」に「事後評価」の結果を掲載している。
日本のODA事業における事後評価活動は、1975年より実施されてきた。現在、外務省がODA政策部門として、JICAおよびOECFがODA実施部門として、我が国ODA事業の事後評価を行っている。
外務省は、81年度に経済協力局内に「経済協力評価委員会」を設置し、組織的かつ体系的な取り組みを開始した。その後、84年に外務省に援助政策の立案・調査および評価を所掌する「調査計画課」を設置し、90年6月には同課の下に評価を専門的に所掌する「評価室」を設置した。現在、この評価室が、我が国ODA事業全般について各種の事後評価を行っている。
また、外務省が行う評価活動の諮問機関として、外部有識者からなる「援助評価検討部会」が86年に設置され、(イ)評価の体制・手法・実施計画の検討、(ロ)外務省の「経済協力評価報告書」の検討、(ハ)部会メンバーによるODAプロジェクトの評価などを行っている。
援助評価検討部会は、1986年に、援助の評価における第三者的視点を強化するとの見地から、外部有識者をメンバーとして、外務省が行う評価のあり方を検討・チェックするため、設置されたもの。年に2回程度会合を開催し、ODA評価のより効率的・効果的実施を目指し、評価にかかる諸問題について検討を行っている。
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一方、JICAは日本のODAにおける技術協力事業の実施機関および無償資金協力の実施促進機関として評価活動を行っている。JICAでは1981年7月にJICA事業の評価のあり方などを検討するために「評価検討委員会」を設置し、評価手法の開発や評価ガイドラインなどの作成を行うとともに、1988年4月より、評価の専門担当部署を設置し、現在は、「評価監理室」として、JICA事業について各種の事後評価を行っている。
OECFは、有償資金協力の実施機関として、1975年より事後評価活動を開始した。1980年代に入ると、円借款供与による完成事業が増加してきたため、1981年に事後評価を専門に扱う部署を設置した。その後、何度かの組織改編を経て、現在では「開発援助研究所」を構成する4グループの内の1つである「評価グループ」により、事後評価が実施されている。
各機関は、これまで評価結果の公表に努めてきており、外務省は1982年度より公表を開始し、OECFは91年度より、JICAは95年度より、各々報告書を作成、公表してきている。
各機関における評価関係部署の組織的位置付け