2025年版開発協力白書 日本の国際協力

(4)自然災害時の人道支援

近年、気候変動の影響もあり、短時間・局所的といった異常な集中豪雨の発生頻度は世界的に増加しており、洪水や土砂災害による被害も激甚化・頻発化の傾向にあります。開発途上国では、経済・社会基盤が脆(ぜい)弱であるため、災害により大きな被害を受ける国が多くあり、国際社会からの支援が求められています。

日本は、海外で大規模な災害が発生した場合、被災国政府または国際機関の要請に応じ、直ちに緊急援助を行える体制を整えています。協力体制には、人的援助、物的援助、資金援助があり、災害の規模や被災国等からの要請内容に基づき、いずれかまたは複数を組み合わせた協力を行っています。

●日本の取組

ミャンマー地震における医療チームによる診療風景

ミャンマー地震における医療チームによる診療風景

スリランカにおけるサイクロン被災地で活動をする国際緊急援助隊・医療チーム

スリランカにおけるサイクロン被災地で活動をする国際緊急援助隊・医療チーム

人的援助として国際緊急援助隊があり、(ⅰ)救助チーム、(ⅱ)医療チーム、(ⅲ)感染症対策チーム、(ⅳ)専門家チーム(災害の応急対策と復旧活動に関する専門的な助言・指導を行う)、(ⅴ)自衛隊部隊(特に必要があると認められる場合に医療活動や援助関連の物資や人員の輸送を行う)を、個別に、または組み合わせて派遣します。

物的援助としては、緊急援助物資の供与を行っています。日本は海外5か所の倉庫に、被災者の当面の生活に必要なテントや毛布などを備蓄しており、災害が発生したときには速やかに被災国に供与できる体制にあります。

資金援助としては、海外における自然災害や紛争の被災者、難民・避難民等の救援を目的として、被災地で緊急援助を行う国際機関などに対し、緊急無償資金協力を行っています。

2025年3月末に発生したミャンマーの地震被害に対し、日本は地震発生直後からミャンマーに医療チームおよび自衛隊機を派遣しました。また、緊急援助物資衛生用品、水・浄水器などの緊急援助物資の供与を実施しました。その後も草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じて、マンダレー地域の学校に対して給水タンクやテント等を供与するなど、迅速かつ一貫した緊急支援活動に取り組みました(ミャンマーにおける地震被害に対する緊急援助については「案件紹介」を参照)。

このほかにも、2025年4月、ボリビアにおける洪水被害に対して緊急援助物資として排水ポンプを供与したほか、9月には、アフガニスタン東部の地震被害に対し、テント、毛布などの緊急援助物資を供与しました。さらに、食料、保健・医療および水・衛生の分野で、国際機関を通じた緊急無償資金協力を実施しました。10月のフィリピンの地震被害、ベトナムの洪水被害、ジャマイカにおけるハリケーン・メリッサによる被害に対しても、浄水器やポリタンクなどの緊急援助物資を供与しました。また、メキシコでの洪水被害に対し、衛生用品等を供与しています。11月には、キューバにおけるハリケーン・メリッサによる被害、アフガニスタン北部における地震被害、タイにおける洪水被害、スリランカにおけるサイクロン被害に対し、スリーピングパッドなどの緊急援助物資を供与しました。スリランカで発生したサイクロン被害に対しては、12月に国際緊急援助隊・医療チームを派遣しました。

日本のNGOはODAを活用した被災者支援を行っているほか、国際機関などが緊急援助活動を実施する際のパートナーとしても活躍しています。ジャパン・プラットフォーム(JPF)注56は自然災害や紛争によって発生した被災者および難民・避難民等への人道支援を行っており、JPFの加盟NGOは、ガザ(飢きん)、レバノン(紛争)、モザンビーク(サイクロン)、シリア(人道危機)、ミャンマー(人道危機、中部地震)、パキスタン(水害)、アフガニスタン(帰還民支援、東部地震)フィリピン(セブ島沖地震)など、現地政府の援助が届きにくい地域で、現地のニーズに対応した様々な支援を実施しています(実績などは第Ⅴ部1(3)を参照)。

自然災害の多い日本と東南アジア諸国にとって、災害対応は共通の課題です。日本は、特に、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)の設立(2011年)および運営を支援し、地域の災害などへの対処能力の向上等に貢献してきました。具体的には、緊急物資を迅速に被災国へ輸送するASEAN緊急災害ロジスティック・システム(DELSA)の構築および活用、被災状況の緊急評価などを行うASEAN緊急対応評価チーム(ERAT)やASEAN各国防災機関の幹部候補生を含む職員を対象とした人材育成を実施してきています。


  1. 注56 : 用語解説を参照。
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