開発協力トピックス2
第2回グローバル難民フォーラム
~共催国日本の取組~

第2回グローバル難民フォーラム開会式でステートメントを行う上川外務大臣

ウガンダにて、稲作ワークショップに参加する難民とホストコミュニティの人々(写真:JICA)

バングラデシュにて、ユニクロとUNHCRが協力して実施する、自立支援のための縫製技術訓練を受ける避難民女性(写真:株式会社ファーストリテイリング)
世界の難民・避難民の数は、この10年で2倍を超え、世界中で故郷を追われた人々は、2022年に初めて1億人を超えました注1。この急増は、人災とも言える紛争が世界各地で長期化しているためです。難民が祖国に戻れない状況が続く中、ロシアによるウクライナ侵略等、新たな危機がさらなる難民を流出させています。近年の気候変動に伴う自然災害の激甚化もこうした状況をさらに悪化させています。
2018年の国連総会において、新たな難民支援の国際的な枠組みとして「難民に関するグローバル・コンパクト(GCR)」が採択され、(1)難民受入れ国の負担軽減、(2)難民の自立支援、(3)第三国での解決策の拡大、(4)安全で尊厳のある帰還環境整備、が目標として掲げられました。グローバル難民フォーラム(GRF)は、このGCRのフォローアップとして、難民問題の解決に向けた取組の共有と国際社会の連携を促すことを目的に4年に一度開催される国際会議です。2019年12月に第1回会合が開催されました。
2023年12月に開催された第2回GRFは、世界各国・地域から4,200人以上が参加し、フランス、コロンビア、ヨルダン、ウガンダと共に共催国を務めた日本からは、上川外務大臣が出席しました。
上川外務大臣は開会式において、悪化の一途をたどる人道状況を食い止めるためには、難民・避難民一人ひとりが夢を努力で実現できる未来の展望を持たなければならないことを強調しました。とりわけ脆(ぜい)弱な環境に置かれているのが女性とこどもであり、「女性・平和・安全保障(WPS)」注2の考え方が難民・避難民への対応を考える上で不可欠であることを指摘しました。また、日本の国内外における難民・避難民の自立支援や受入れ国の負担軽減に向けた取組を説明し、国際社会の団結と協力強化を強く呼びかけ、国際社会の連携のためのプラットフォームとして人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)注3の取組を拡大することを表明しました。
上川外務大臣は、GRFに参加した難民受入れ国であるヨルダン、レバノン、イラン、ウガンダと二国間会談を実施し、自らも困難を抱えながらも多くの難民を受け入れ、地域の平和と安定に貢献していることを高く評価するとともに、各国の負担を軽減するために支援を強化する旨を表明しました。またフランスとの二国間会談では、両国首脳間で発表された日仏協力ロードマップを通して「特別なパートナー」である日仏協力を一層強化していくことで一致しました。
日本は、「WPS+イノベーション~難民支援・人道支援の現場から~」と題する意見交換会をGRFに併せて主催し、上川外務大臣は国際移住機関(IOM)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の代表者から、現場の課題や日本に期待する役割等について聞き取りを行いました。上川外務大臣からは、現下のウクライナや中東情勢だけでなく、アフリカや中南米の抱える問題にもWPSを具体的に活用するとともに、国際機関の知見を今後のWPSの視点を踏まえた国際支援にいかしていきたいと述べました。
第2回GRFでは、複数の国・団体等が、様々な支援についてマルチステークホルダー・プレッジ(MSP)を形成し、その下で協働することを推奨しています。HDPネクサス、ジェンダー平等、平和構築、教育等の分野で計43件のMSPが形成され、今後4年間で各MSPのリード国・団体等が主導していくこととなります。
注1 UNHCR「グローバル・トレンズ・レポート2022」https://www.unhcr.org/global-trends-report-2022
注2 第Ⅲ部3(6)を参照。
注3 注38を参照。