4 開発協力人材・知的基盤の強化、発信に向けた取組
(1)開発協力人材・知的基盤の強化

セネガル北部・ルーガ州でUNICEFが支援する地域のこどもたちの栄養モニタリング活動を視察するUNICEFセネガル事務所の川合菜月(なつき)栄養担当官(JPO派遣制度を利用して、2023年からUNICEFセネガル事務所に勤務)(写真:UNICEF Senegal)
効果的・戦略的な開発協力の実施には、開発課題に高い知見を有する人材の確保・育成および国民の理解と支持が不可欠です。
日本政府は、国連関係機関で勤務する日本人職員数を2025年までに1,000人とする目標を掲げ、大学や国際機関駐日事務所などと連携しつつ、世界を舞台に活躍する人材の発掘・育成・キャリア構築を積極的に支援しています注32。「開発協力を担う人材の育成」(ODAに関する有識者懇談会提言)でも触れられているように、開発協力を担う人材を含めたグローバル人材の育成を喫緊の課題とし、高等教育機関の学生や既就職者などを対象に、国際機関の採用制度を説明するセミナーを国内外で開催しています。最近では主にオンラインで実施することにより、海外在住の現職の国際機関職員も登壇し、具体例を交えて紹介することが可能になっています。このほか、動画配信、国際機関の幹部や人事担当者によるセミナーの実施なども行っています。
また、日本政府は、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣制度(詳細は図表Ⅴ-3「日本人が国際機関職員になるための主な方法」を参照)を通じて、開発協力分野に携わる機関を含む、国際機関で活躍する人材の育成に努めています(国際機関日本人職員の活躍については「世界の現場で活躍する国際機関日本人職員」を、JPO制度で派遣中の国際機関職員のキャリア紹介については「国際協力の現場から6」も参照)。外務省はこれまでに累計1,900人以上、2022年度は64人のJPOを派遣しました。このほか、「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」注33も実施しています。
JICAでは、国際協力キャリア総合情報サイト「PARTNER」注34を通じ、省庁、JICAに加え、NGO、国際機関、企業および大学などの幅広い主体の国際協力に関する情報(求人および各種研修・セミナーなど)を一元的に発信しているほか、人材の登録、キャリア相談などを行っています。さらには、開発協力に関わりの深い研究を行い、将来同分野で活躍する意思を有する大学院生などに対し、インターンシップを実施しています。また、JICAは、国際協力専門員制度により、高い専門的な能力と開発途上国での豊富な業務経験を持つ人材を確保するとともに、人材育成のため、ジュニア専門員の採用や、能力強化研修なども実施しています。
JICA緒方貞子平和開発研究所では、開発協力の現場で得られた知見を分析、総合してJICAの事業にフィードバックし、DX分野でSDGs達成に向けた技術活用の提言を行うなど人間の安全保障の実現およびSDGsの達成に貢献するとともに、人材育成にも寄与しています。

- 注32 : 外務省国際機関人事センター・ホームページ(https://www.mofa-irc.go.jp/)では、国際機関空席情報や国際機関で働くための様々な情報提供をしています。
- 注33 : 注39を参照。
- 注34 : 国際協力キャリア総合情報サイト「PARTNER」 https://partner.jica.go.jp/