(3)民主化支援
統治と開発への国民参加および人権の擁護・促進といった民主主義の基盤強化は、開発途上国の中長期的な安定と開発の促進にとって極めて重要な要素です。特に、民主化に向けて積極的に取り組んでいる途上国に対して、公正かつ透明性が確保された選挙を実施するための支援や、国民の知る権利を保障し、表現の自由を守るためのメディアに対する支援などを通じて、民主化への動きを後押しすることが重要です。
●日本の取組
イラクでは2021年10月に国民議会選挙が行われ、日本は、首都バグダッドの投票所で選挙監視活動を実施したほか、国連開発計画(UNDP)と連携し、同国の独立高等選挙委員会に対して生体認証登録に使うサーバーなどの機材や新型コロナ対策用にマスクや非接触型体温計などを供与しました。新型コロナの状況下においても感染を防止しつつ、透明性と信頼性の高い選挙が実施できるよう支援し、同国のガバナンス強化に貢献しました。
コソボでは、全ての国民に正確・中立・公正な放送を届けるため、2021年1月から、公共放送能力向上プロジェクトを実施しています。多民族が混在している地域での取材に際して、情報精度を向上させるため、少数民族地域や他民族混住地域の支局開設の準備や、JICA専門家によるOJTやワークショップを通じて番組製作スタッフの能力向上を支援しています。これらの活動は、少数民族を含む全ての国民に、公正で隔たりのない番組を放送することに貢献しています(ウクライナに対する公共放送の支援について、「案件紹介」も参照)。