2 実績から見た日本の政府開発援助と主要ドナーの援助動向
(1)実績から見た日本の政府開発援助
2021年の日本の政府開発援助(ODA)の実績注9は、2018年から導入された贈与相当額計上方式(Grant Equivalent System:GE方式)注10では、約176億3,414万ドル(約1兆9,356億円)となりました。この結果、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)諸国における日本の順位は米国、ドイツに次ぎ第3位注11となりました。
内訳は、二国間ODAが全体の約77.8%、国際機関等に対するODAが約22.2%です。二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。また、国際機関等に対するODAでは、専門性や政治的中立性を持った国際機関等を通じて、直接日本政府が二国間で行う援助が届きにくい国・地域への支援も可能になります。日本は、これらの支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図りつつ、「日本の顔」が見える支援を積極的に行っていきます。
二国間ODAを援助手法別に見ると、GE方式では、無償で供与された資金の実績は約32億5,721万ドル(約3,575億円)で、ODA実績全体の約18.5%となっています。うち、国際機関等を通じた贈与は、約20億9,570万ドル(約2,300億円)でODA全体の約11.9%です。技術協力は約24億2,312万ドル(約2,660億円)で、ODA全体の約13.7%を占めています。政府貸付等については、貸付実行額は約121億2,628万ドル(約1兆3,310億円)、政府貸付等の贈与相当額は約80億3,591万ドル(約8,821億円)で、ODA全体の約45.6%を占めています。

地域別の二国間ODAの実績値(「開発途上地域」指定国注12向け援助を含む)を構成比(支出の総額)順に記載すると次のとおりです注13(詳細は図表Ⅰ-2および図表Ⅲを参照)。
◆アジア:59.1%(約105億1,946万ドル)
◆中東・北アフリカ:11.0%(約19億5,144万ドル)
◆サブサハラ・アフリカ:9.5%(約16億9,170万ドル)
◆中南米:4.0%(約7億786万ドル)
◆大洋州:3.5%(約6億1,848万ドル)
◆欧州:0.5%(約9,666万ドル)
◆複数地域にまたがる援助:12.5%(約22億2,096万ドル)





- 注9 : 2022年DACメンバーのODA実績確定値は2023年末以降に公表される予定。
- 注10 : 政府貸付等について、贈与に相当する額をODA実績に計上するもの。贈与相当額は、支出額、利率、償還期間などの供与条件を定式にあてはめて算出され、供与条件が緩やかであるほど額が大きくなる。2017年までDACの標準であった純額方式(供与額を全額計上する一方、返済された額はマイナス計上)に比べ、日本の政府貸付等の実態がより正確に評価される計上方式といえる。
- 注11 : OECDデータベース(OECD.Stat)(2022年12月)。
- 注12 : 「開発途上地域」指定国とは、JICA法第3条(機構の目的)を踏まえ、ODA対象国・地域に関するDACリストから卒業した国に対して、「開発途上地域」に当たると整理を行い、継続支援している国。2021年のODA実績においては、アラブ首長国連邦、ウルグアイ、オマーン、クウェート、クック諸島、サウジアラビア、セーシェル、セントクリストファー・ネービス、チリ、トリニダード・トバゴ、バハマ、バルバドス、バーレーン、ブルネイが該当する。
- 注13 : 支出総額ベース。