2021年版開発協力白書 日本の国際協力

(6)諸外国・国際機関との連携

ア 主要ドナーとの対話
パワー米国際開発庁長官と会談する鈴木外務副大臣(2021年12月)

パワー米国際開発庁長官と会談する鈴木外務副大臣(2021年12月)

日本は、主要ドナーとの間で対話を実施し、お互いの優先課題・政策について意見交換を行っています。

2021年2月、第7回日EU開発政策対話を実施し、新興ドナーの問題、新型コロナウイルス感染症への対応、気候変動問題等について意見交換を行いました。4月には、日英開発政策対話を開催し、2021年のG7関連会合、新興ドナーの問題、新型コロナ対応、環境・気候変動、教育等について意見交換を行いました。

6月、第2回日中開発協力政策局長級協議を開催しました。冒頭、日本より、新型コロナの拡大以降、中国の対外援助は更に注目されており、今回の協議では様々な開発課題について率直に意見交換したい旨を述べました。その上で、新型コロナへの対応、マルチの枠組みの下での協力、統計、評価等について意見交換を行いました。

12月、鈴木外務副大臣はサマンサ・パワー米国際開発庁(USAID)長官とのテレビ会談を行いました。鈴木副大臣から、日本の開発協力政策における優先課題について説明し、米国と共に国際社会が直面する開発課題に取り組みたい旨を述べました。これに対し、パワー長官は、東京栄養サミット2021をはじめとする栄養分野への取組や、COVAXを通じた協力等の日本の貢献に対して謝意を表するとともに、両国の関係を一層強化していきたい旨を述べました。また、両者は、新型コロナへの対応や開発分野において日米間で協力していくことで一致しました。

イ G7・G20開発問題における連携
G20ローマ・サミットに出席した岸田総理大臣(2021年10月)(写真:内閣広報室)

G20ローマ・サミットに出席した岸田総理大臣(2021年10月)(写真:内閣広報室)

第2回G7外務・開発大臣会合に出席するため就任後初となる外遊で英国を訪問し、英国のトラス外務・英連邦・開発大臣と会談した林外務大臣(2021年12月)

第2回G7外務・開発大臣会合に出席するため就任後初となる外遊で英国を訪問し、英国のトラス外務・英連邦・開発大臣と会談した林外務大臣(2021年12月)

2021年5月、ロンドンにおいて第1回G7外務・開発大臣会合が開催され、開発分野の諸課題が議論されました。日本からは茂木外務大臣(当時)が出席し、新型コロナによる危機を乗り越えるためには、G7として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の考えの下、開発途上国も含めた世界全体において、ワクチン・治療・診断への公平なアクセスを実現することが不可欠であることで一致しました。また、新型コロナにより特に影響を受けた女子教育を支える重要性と、コロナ禍の影響で一層深刻化している飢饉(ききん)などの人道危機への対応について合意しました。さらに、気候変動に関し、先進国による年間1,000億ドル気候資金動員目標の2025年までの継続と、緩和と適応の均衡達成を目指すことを再確認しました。

6月に開催されたG7コーンウォール・サミットには菅総理大臣(当時)が出席し、新型コロナからのより良い回復の不可欠な要素の一つであるジェンダー平等について、また、より強靱(きょうじん)な回復に向けた方策として、世界経済の公正性や透明性を損なう非市場主義政策および慣行への共同のアプローチについて議論されました。また、パンデミック終結のために、G7として資金および現物供与を通じてワクチン10億回分に相当する支援を行うことにコミットしました。気候変動に関しては、日本は2021年から2025年までの5年間において、途上国に対して6.5兆円相当の支援を実施することと、適応分野の支援を強化していく考えを表明しました。

また、12月にリバプールにおいて第2回G7外務・開発大臣会合が開催され、林外務大臣が出席しました。経済パートナーシップに関し、12月3日に発出されたG7首脳声明に基づき、持続可能で強靭な質の高いインフラ投資および開発金融に関する共通の原則を再確認しました。また、新型コロナのオミクロン株による新たな、懸念すべき脅威について議論し、G7として、2022年の世界中でのワクチン接種に向けたコミットメントを再確認するとともに、地域のワクチン製造・規制能力を拡大し、保健システムを強化し、質の高いワクチン等の提供のために協力することにコミットしました。

G20においては、6月にイタリアのマテーラで、G20で初めての開発大臣会合が開催され、茂木外務大臣(当時)が出席しました。本会合では、SDGs達成に必要な資金の年間2.5兆ドルの不足といった資金ギャップの問題が新型コロナにより深刻化していることを受けて、資金ソースの多様化の必要性について、また、新型コロナの影響で地方におけるSDGs達成が一層困難になっていることを踏まえ、途上国の地域開発と地方におけるSDGs推進について議論が行われました。

また、10月のG20ローマ・サミットには、日本から岸田総理大臣が出席しました。本サミットでは、公平性を増進させ、すべてのSDGsの進捗を加速できるような、世界中で持続可能、包摂(ほうせつ)的、強靭な復興を支援するためのグローバルな対応へのコミットメントが再確認されるとともに、回復の段階における質の高いインフラ投資の不可欠な役割を認識する旨が表明されました。

ウ 国際機関との連携
グランディ国連難民高等弁務官と会談する茂木外務大臣(当時)

グランディ国連難民高等弁務官と会談する茂木外務大臣(当時)

日本は、様々な開発課題に対応し、国際機関との連携による支援を円滑に進めるため、国連機関や主要な国際機関との対話を実施しています。2021年は、国連児童基金(UNICEF)、国連開発計画(UNDP)、国際移住機関(IOM)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連世界食糧計画(WFP)などとの定期的な政策対話を実施したほか、2021年7月には菅総理大臣(当時)および茂木外務大臣(当時)は、訪日したグランディ国連難民高等弁務官およびテドロス世界保健機関(WHO)事務局長とそれぞれ会談しました(IOMで働く日本人職員について、「国際協力の現場から」を、国際機関で活躍する日本人職員については第Ⅰ部特集を参照)。

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