6 中央アジア・コーカサス地域
中央アジア・コーカサス地域は東アジア、南アジア、中東、欧州、ロシアを結ぶ地政学的な要衝に位置し、その発展と安定は、ユーラシア地域全体の発展と安定にも大きな意義を有しています。また、この地域は石油、天然ガス、ウランなどの豊富な天然資源を有する戦略的に重要な地域でもあります。
中央アジア・コーカサス諸国は1991年の独立以来、市場経済体制への移行と経済発展に向け取り組んできていますが、旧ソ連時代の経済インフラの老朽化や、市場経済化のための人材育成、保健・医療などの社会システムの構築などで課題を抱えています。
●日本の取組

カザフスタンを訪問し、ヌリシェフ外務省第一次官と会談する中西外務大臣政務官(当時)(2021年8月)
日本は、中央アジア・コーカサス諸国のこれらの課題解決に向けた取組を支援するため、インフラ整備、人材育成、保健・医療をはじめとする基礎的社会サービスの再構築など多様な分野で支援を行っています。
特に、中央アジア諸国との関係では、日本は2004年から「中央アジア+日本」対話を立ち上げ、自由で開かれた国際秩序を維持・強化するパートナーである中央アジアの平和と安定に寄与することを目的とした域内協力を促進しています。コーカサス諸国との関係では、2018年に発表した「コーカサス・イニシアティブ」に基づき、(ⅰ)国づくりを担う人づくり支援と、(ⅱ)インフラ整備やビジネス環境整備を通じた魅力的なコーカサスづくりのための支援の2つの柱を基本方針としています。
インフラ整備関連の2021年の主な日本の支援としては、電力分野の改革を進めるウズベキスタンの取組を支援するため、1.95億ドルの財政支援借款を同国に供与したほか、キルギスにおいて、首都ビシュケクと第二の都市オシュを結ぶ幹線道路の地吹雪対策のため、約10億円の無償資金協力を行いました。
人材育成支援としては、日本は2020年までに中央アジア・コーカサス諸国から約11,600名の研修員を受け入れるとともに、同諸国に約3,200名の専門家を派遣しています。また、若手行政官の日本留学プロジェクトである人材育成奨学計画や、開発大学院連携プログラム、日本人材開発センターによるビジネス人材育成などを通じて、国づくりに必要な人材の育成を支援しています(キルギスにおける税務局職員の人材育成について、「案件紹介」を参照)。
基礎的社会サービスについては、日本は新型コロナウイルス感染症対策支援として、中央アジア・コーカサス地域の8か国に対して、保健・医療関連機材の供与のため、2021年12月までに総額約32億円の無償資金協力を実施しているほか、ウズベキスタンに対して150億円の緊急支援借款を供与しています。
その他、隣接するアフガニスタンの情勢を踏まえ、国境管理や麻薬対策などの支援も行っています。
