2021年版開発協力白書 日本の国際協力

(2)自然災害時の人道支援

2021年4月に東ティモールで発生した洪水の後、緊急援助物資としてJICAを通じて届けられた毛布を持つ被災者。配布の際には日本のNGOも協力(写真:特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン)

2021年4月に東ティモールで発生した洪水の後、緊急援助物資としてJICAを通じて届けられた毛布を持つ被災者。配布の際には日本のNGOも協力(写真:特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン)

グアテマラでのハリケーン被害に対する緊急無償資金協力の一環として援助された食料を受け取る住民の様子(写真:WFP)

グアテマラでのハリケーン被害に対する緊急無償資金協力の一環として援助された食料を受け取る住民の様子(写真:WFP)

日本は、海外で大規模な災害が発生した場合、被災国政府または国際機関の要請に応じ、直ちに緊急援助を行える体制を整えています。人的援助としては国際緊急援助隊があり、(ⅰ)救助チーム、(ⅱ)医療チーム、(ⅲ)感染症対策チーム、(ⅳ)専門家チーム(災害の応急対策と復旧活動に関する専門的な助言・指導を行う)、(ⅴ)自衛隊部隊(特に必要があると認められる場合に医療活動や援助関連の物資や人員の輸送を行う)を個別に、または組み合わせて派遣します。

また、物的援助としては、緊急援助物資の供与を行っています。日本は海外3か所の倉庫に、被災者の当面の生活に必要なテントや毛布などを備蓄しており、災害が発生したときには速やかに被災国に供与できる体制にあります。2021年、日本は東ティモール、パラオ、セントビンセント、コンゴ民主共和国、ハイチ、フィリピンに対して緊急援助物資の供与を行いました。

さらに、日本は、海外における自然災害や紛争の被災者、難民・避難民等を救援することを目的として、被災国政府や被災地で緊急援助を行う国際機関などに対し、緊急無償資金協力を行っています。その際、国際機関などが実際に緊急援助活動を実施する際のパートナーとして、日本のNGOが活躍することも少なくありません(2021年の実績は第Ⅲ部を参照)。

また、日本のNGOはODAを活用した被災者支援も行っています。ジャパン・プラットフォーム(JPF)注32は自然災害や紛争によって発生した被災者および難民・避難民等への人道支援を行っており、JPFの加盟NGOは、現地政府の援助がなかなか届かない地域で、現地のニーズに対応した様々な支援を実施しています(実績などは「(3)日本のNGOとの連携」を参照)。

また、自然災害の多い日本とASEANにとって、災害対応は共通の課題です。日本は、2011年に設立されたASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)の能力強化を支援するため、2021年も引き続き、情報通信技術システムの整備や人材育成、緊急物資を迅速に被災国へ輸送するロジスティック・システムの構築および同システムを活用した支援を行っています。


  1. 注32 : 用語解説を参照。
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