2021年版開発協力白書 日本の国際協力

国際協力の現場から 02一般公募

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アフリカ最大の難民受入れ国ウガンダでの取組を後押しする日本の協力
~UNHCRの活動~

紛争で親と離れ離れになった19人の子どもを引き取り、コメ作りに励む南スーダン難民の女性(写真:UNHCR)

紛争で親と離れ離れになった19人の子どもを引き取り、コメ作りに励む南スーダン難民の女性(写真:UNHCR)

「まさに持続可能な取組がカギ」と語る、難民が育てたネリカ米の田んぼを訪れた高嶋由美子氏(左から4番目)(写真:UNHCR)

「まさに持続可能な取組がカギ」と語る、難民が育てたネリカ米の田んぼを訪れた高嶋由美子氏(左から4番目)(写真:UNHCR)

アフリカ東部に位置し、その豊かな自然環境から「アフリカの真珠」とも称されるウガンダは、長年にわたり寛容な姿勢で南スーダン、コンゴ民主共和国など情勢不安が続く隣国から流入する難民を受け入れています。

ウガンダにおける難民受入れ数は、2020年末時点で累計約140万人となっており、アフリカ最大の難民受入れ国としても知られています。また、新型コロナウイルス感染症拡大以前における同国での難民認定率は95%(2019年)であり、同国政府のイニシアティブにより、国内各地で難民居住区の整備も進んでいます。土地の割当てや移動の自由、生計向上など、難民のニーズに寄り添った取組も強化されており、世界的にも難民受入れの成功例として評価されています。

ウガンダで行われている難民支援では、様々なパートナーとの連携が必要不可欠です。コロナ禍で難民を取り巻く環境のリスクがさらに高まるなかで、UNHCRは「難民に関するグローバル・コンパクト(GCR)注1」の理念として掲げられている「Whole-of-society approach(社会全体で取り組む難民支援)」を体現するために、日本政府、JICA、NGOなど、日本のアクターとも多岐にわたる分野で連携しています。

その一つが、JICAとの協力で実施されている「コメ振興プロジェクト」注2です。JICAが稲作振興として展開してきた取組を2014年からUNHCRとの連携により難民支援にも応用し、難民と受入れコミュニティ双方に対して、アフリカの気候に適した乾燥に強い陸稲ネリカ米注3の普及や稲作研修を行い、2021年には約1,111世帯(約5,000人)が恩恵を受けました。ネリカ米の栽培を通じた経済的自立は自信にもつながり、「人生が変わった」と話す難民も少なくありません。

このようなJICAと国際機関の連携は、人道支援と開発協力のシームレスな連携を目指した「人道と開発の連携(ネクサス)」の強化にも貢献しています(詳細は、第Ⅱ部2 2-2(1)も参照)。そのほかにも、医療、教育、給水、生計向上など、難民の多様なニーズに対応するために、UNHCRは日本のNGO、企業などと連携を強化しながら、難民のより良い未来に向けて一人ひとりに届く支援に取り組んでいます。

UNHCRの難民支援の現場では、日本人職員も多く活躍しています。ウガンダで3年以上勤務しているウガンダ・ユンベ事務所の准保護官の古林安希子(こばやしあきこ)さんは、「故郷を追われ困難な状況にありながらも、希望を失わず日々を懸命に生き抜く難民たちに力をもらうことも多くあります。」と語ります。

また、UNHCRウガンダ事務所のリスク管理・コンプライアンス主任担当の高嶋由美子(たかしまゆみこ)さんは、次のように語ります。「ウガンダで難民が直面する課題はもちろん、様々な形で日本の皆さんからの支援が届いていることをもっと知ってほしいです。そして日本からさらに何ができるのかを、私たちと一緒に考えてほしいです。」今後も日本のノウハウを生かした協力が難民支援に広がっていくことが期待されます。


注1 2018年12月の国連総会で採択された。

注2 PRiDe(Promotion of Rice Development)

注3 用語解説を参照。

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