(4)持続可能な都市
都市は人間の主要な居住地域であり、経済・社会・政治活動の中心です。近年、そのような都市の運営にかかわる様々な問題が注目されています。市街地や郊外で排出される大量の廃棄物処理への対応や、大気・水等の環境汚染防止への対応、下水・廃棄物処理システム等のインフラ施設の整備、急激な人口増加とそれに伴う急速な都市化への対応などの問題です。こうした問題に対応し、持続可能な都市の実現に向けて取り組むことは重要な開発協力課題となっています。
SDGsでは、目標11として「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住の実現」という課題が設定されました。このように、持続可能な都市の実現を含む人間居住の課題解決に向けた国際的な関心が高まっています。
< 日本の取組 >
日本は、「開発協力大綱」を踏まえ、開発途上国の「質の高い成長」とそれを通じた貧困撲滅のため、持続可能な都市の実現に向けた協力を実施するとともに、防災対策・災害復旧対応や健全な水循環の推進等、人間居住に直結した地球規模課題の解決に向けた取組を進めています。
具体的には、日本はその知識と経験を活かし、上下水・廃棄物・エネルギー等のインフラ整備や、災害後において被災前より強靱なまちづくりを行う「より良い復興」の考え方を踏まえた防災事業や人材育成等も実施しています。
このほか、日本は持続可能な都市開発を推進する国連人間居住計画(UN-Habitat)への支援を通じた取組も進めています。特に、日本は福岡に所在するアジア・太平洋地域本部と連携し、日本の民間企業や自治体の環境技術を海外に紹介しています。
2016年には、南米エクアドルのキトで20年に1度、開催される国連人間居住会議(HABITAT III)において、人間居住に関する各国の取組実績をもとに、都市問題や人間居住に係る課題の解決に向けた国際的な取組方針である「ニュー・アーバン・アジェンダ(NUA)」が採択されました。NUAは目標11を含むSDGsの達成に貢献するものであり、日本としても、NUAの実施に取り組んでいく考えです。

モンバサゲートシティ総合都市開発マスタープランプロジェクトが進むモンバサ郡内の風景。(写真:JICA)