第2節 SDGsの主流化に向けた取組

「グローバルフェスタ2017」における、岡本三成外務大臣政務官からピコ太郎さんへのSDGs推進大使委嘱の様子。
SDGsには17の目標があり達成すべき事項が多岐にわたっているとともに、「誰一人取り残さない」という理念を実現するためには、政府のみならず、民間企業、NGO/NPO、地方公共団体等がSDGsに向けて取り組む必要があります。そのために、SDGsに対する国民の認知度を向上させ、SDGsに向けた「国民運動」的なうねりを作っていくことが重要です。その観点から、2017年は、メディア・エンタメ業界と連携し、SDGsの国民への浸透を図っています。吉本興業株式会社は、所属の芸人を起用し、SDGsの17の目標に応じたパネルやポスターを作成し、各種イベントにおいて掲示を行うとともに、そのポスターを活用したスタンプラリーを実施するなど、SDGsの普及に向けて尽力されています。また、上述の国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)において、日本政府主催のレセプションでピコ太郎さんから、SDGs普及のために作成した「SDGs版PPAP」を披露し、SDGs版PPAPはYouTubeの外務省公式チャンネルにおいて配信をしています。このようなSDGsの普及に向けた取組を踏まえて、2017年9月にお台場で開催された国際協力イベント「グローバルフェスタ2017」において、ピコ太郎さんに「SDGs推進大使」を委嘱しました。

ジャパンSDGsアワード表彰式の様子(写真:内閣広報室)と、日本政府のSDGsロゴ。
SDGs達成に向けた企業・団体の取組を促し、オールジャパンの取組を推進するため、2017年6月の第3回SDGs推進本部会合において、SDGs達成に資する優れた取組を行っている日本の企業・団体等を表彰する「ジャパンSDGsアワード」の創設を決定しました。SDGsアワードは、日本の民間セクターや市民団体の先進的取組および官民パートナーシップをアピールするとともに、具体的な優良事例を示すことで他の団体がSDGsに取り組む上での助けとなり得ます。同アワードの受賞団体は、SDGs推進円卓会議の構成員から成る選考委員会の意見を踏まえて決定され、同年12月に行われた第1回目の表彰式では、多数の応募の中から「北海道下川町」がSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞しました。同アワードの受賞団体は、地方公共団体、NPO、民間企業、市民団体および教育界等様々な分野の団体にわたっており、国内で多様な取組が進んでいるといえます。ほかにも、民間セクターや市民団体のSDGs実施に向けた取組を後押しするため、SDGsにコミットする企業・団体等にロゴマークの付与を行っています。
ビジネス界においても、11月上旬に、一般社団法人日本経済団体連合会が、企業が守るべき行動指針を記した「企業行動憲章」を7年ぶりに改定し、Society5.0の実現を通じたSDGsの達成を柱に掲げました。証券業界では、日本証券業協会が「証券業界におけるSDGsの推進に関する懇談会」を設置し、証券業界としてもSDGsに掲げられている社会課題に取り組むことを表明しました。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)においても、企業によるSDGsの経営戦略への取り込みと社会課題への取組が投資の機会を生むと発表し、企業のSDGsへの取組を推進しています。
地方においても、北海道下川町が第1回「ジャパンSDGsアワード」において、SDGs推進本部長賞を受賞するなど、SDGs達成に向けた取組が進められています。政府も「まち・ひと・しごと創生総合戦略2017改訂版」において、地方創生の一層の推進に当たって、SDGsの主流化を図る旨等を盛り込むとともに、新たに「地方創生に向けた自治体SDGs推進事業」を盛り込みました。今後、政府では、自治体によるSDGsの達成に向けた取組を公募し、優れた取組を提案する都市・地域を「SDGs未来都市」として選定するとともに、先導的な取組については、「自治体SDGsモデル事業」として資金的に支援します。また、こうした成功事例の国内外への普及展開等を行うことで、地方創生の深化につなげます。