2017年版開発協力白書 日本の国際協力

第 Ⅱ 部 持続可能な開発目標(SDGs) 達成に向けた取組

ペルー南部に位置するカヤオ憲法特別市において、日本が整備した幼稚園校舎で学習する子どもたち。(写真:ホセ・サト/在ペルー日本大使館)

ペルー南部に位置するカヤオ憲法特別市において、日本が整備した幼稚園校舎で学習する子どもたち。(写真:ホセ・サト/在ペルー日本大使館)

2017年12月、東京で開催された「UHCフォーラム2017」のハイレベルオープニングセッションの様子。(写真提供:内閣広報室)

2017年12月、東京で開催された「UHCフォーラム2017」のハイレベルオープニングセッションの様子。(写真提供:内閣広報室)

第1章 持続可能な開発目標(SDGs)の推進

2015年9月の国連サミットで、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。ミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)の後継として策定された同アジェンダでは、途上国だけでなく先進国も一致して取り組むべき17の持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とそれに付随する169のターゲットが定められています。日本政府としても、日本が重視する人間の安全保障の理念が反映されているSDGsを重視しています。その達成に向けた国内基盤整備として、まず2016年5月に内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を設置しました。同年12月には、SDGs達成に向けて、関係省庁が一体となって取り組むための国家戦略といえる「SDGs実施指針」を決定しました。

「誰一人取り残さない」多様性と包摂(ほうせつ)性のある社会の実現を目指し、SDGs達成に向けた取組をさらに加速化させることが重要です。

SDGs全17ゴールのロゴ(出典:国連広報センター)

SDGs全17ゴールのロゴ(出典:国連広報センター)

第1節 SDGsのオールジャパンによる取組

2017年6月、総理大臣官邸で開催された、第3回持続可能な開発目標(SDGs)推進本部で発言する安倍総理大臣。(写真:内閣広報室)

2017年6月、総理大臣官邸で開催された、第3回持続可能な開発目標(SDGs)推進本部で発言する安倍総理大臣。(写真:内閣広報室)

SDGsの目標は様々な分野に広がっており、その達成には政府だけでなく、市民社会、民間企業、地方公共団体の叡智を結集した行動が必要です。SDGs推進本部は、当初から様々なステークホルダーとの連携を重視し、2016年9月に第1回「SDGs推進円卓会議」を開催しました。同円卓会議には、経済界、NGO/NPO、国際機関および関係省庁が構成員として参加しています。これまで計4回の会議を開催し、SDGsの地方展開やビジネスとの関係等につき意見交換を行っています。

2017年7月には、岸田外務大臣(当時)が持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)の「自発的国家レビュー」セッションに参加し、「誰一人取り残さない」多様性と包摂性のある社会の実現に向けた日本の取組につきアピールしました。また、同フォーラムで、社会の様々なアクターが手を携えて行動する官民パートナーシップ(PPAP:Public Private Action for Partnership)を提唱し、日本の取組を発信しつつ、PPAPの考え方に基づき、「政府だけでなく、市民社会や民間企業等を巻き込んだ日本の多様な叡智を結集させ、国内外で具体的なアクションを起こしていく」との決意を表明しました。さらに、SDGsが2030年とその先にある未来を造る取組であり、その実現には次世代を担う子ども・若者のエンパワーメントが鍵となるとの観点から、途上国の次世代(子ども・若者)に焦点を当てて、「人間の安全保障」の理念に基づき、教育・環境・防災・ジェンダー分野等を中心に2年間10億ドルの支援策を発表しました。

2017年12月、第4回SDGs推進本部会合において、「SDGsアクションプラン2018」を発表し、官民挙げたSDGsと連動する「Society 5.0」の推進、SDGsを原動力とした地方創生およびSDGsの担い手である次世代・女性のエンパワーメントをSDGs推進の基本的方向性として掲げるとともに、2018年に日本政府全体でSDGs達成に向けて取り組んでいく主要な取組を打ち出しました。

2017年7月、ニューヨークの国連本部で開催された持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)に出席して発言する岸田文雄外務大臣(当時)。

2017年7月、ニューヨークの国連本部で開催された持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)に出席して発言する岸田文雄外務大臣(当時)。

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