2016年版開発協力白書 日本の国際協力

第2節 質の高い成長に向けた取組

完成されたベトナム・ニャッタン橋(日越友好橋)。ハノイ市内紅ホン河を挟んで渋滞緩和および交通効率化を図り、同市の経済発展に寄与する。(写真:久野真一/ JICA)

完成されたベトナム・ニャッタン橋(日越友好橋)。ハノイ市内紅ホン河を挟んで渋滞緩和および交通効率化を図り、同市の経済発展に寄与する。(写真:久野真一/ JICA)

質の高いインフラの整備は、そこに暮らす人々の生活の改善につながるとともに、国内・域内の経済活動を刺激するものであり、各国の質の高い成長を支える重要な取組の一つです。日本は、これまでも、それぞれの国・地域の経済・開発戦略に沿った形で、官民一体となって質の高い成長につながるような質の高いインフラの整備を積極的に支援してきました。たとえば、2015年に開通したベトナムのニャッタン橋は日本の円借款により作られたものですが、軟弱な地盤の上に橋梁(きょうりょう)を建設する際に日本企業が有する特殊な技術が用いられています。

アジアをはじめとする各国・地域には引き続き膨大なインフラ需要が存在しており、さらなる成長に向けてインフラ整備への支援が求められています。日本は、こうした需要に応こたえるべく、2015年5月、安倍総理大臣から「質の高いインフラパートナーシップ」を発表し、アジア開発銀行(ADB)〈注1〉と連携し、今後5年間で、約1,100億ドルの「質の高いインフラ投資」をアジア地域に提供するとともに、有償資金協力の制度改善を通じて、アジア地域のインフラ需要に対して一層魅力あるファイナンスを提供すべく取り組んでいくこととしました。

さらに、2016年5月23日には、安倍総理大臣から、「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」を発表し、アジアのみならず世界全体のインフラ需要に対し、官民合わせて約2,000億ドルの資金等を供給することとしました。また、制度改善を一層進めるとともに、支援を実施するJICA等政府機関の体制強化を進めることもあわせて発表しました。

こうした取組を着実に実行していくことにより、日本は国際社会における質の高いインフラの整備を通じた質の高い成長を促進していく考えです。

1983年に日本の協力により建設された、コンゴ川に架かる唯一の吊り橋、通称「マタディ橋」。完成後すぐに紛争が始まってしまったが、日本人技術者からの技術移転が功を奏し、30年以上経った現在もしっかり維持管理されている。日本とコンゴ(民)の友好のシンボル。(写真:久野真一/ JICA)

1983年に日本の協力により建設された、コンゴ川に架かる唯一の吊り橋、通称「マタディ橋」。完成後すぐに紛争が始まってしまったが、日本人技術者からの技術移転が功を奏し、30年以上経った現在もしっかり維持管理されている。日本とコンゴ(民)の友好のシンボル。(写真:久野真一/ JICA)


  1. 注1 : アジア開発銀行 ADB:Asia Development Bank
このページのトップへ戻る
開発協力白書・ODA白書等報告書へ戻る