(5)南スーダン
20年以上続いた南北内戦の後、2011年7月、南スーダンはスーダンから分離・独立しました。スーダンおよび南スーダンは、両国間の諸課題について、南スーダン独立前からアフリカ連合(AU)の仲介による交渉を行ってきました。2012年9月、両国政府は、両国国境付近の治安措置や石油などの課題に関しては合意し、2013年3月、合意履行のための行程表に合意しましたが、両国間で合意済みであってもまだ履行されていない課題があるほか、両国が共に自国領土であると主張しているアビエ地域(注27)の帰属や係争地の問題等については、未だ合意には至っていません。南スーダンにおいては、2013年12月15日以降、政府側と反政府勢力の衝突が発生し、国内避難民や難民の発生等、人道状況の悪化が懸念されています。また、周辺諸国から成る政府間開発機構(IGAD)が仲介役となり、和平に向けた取組が進められています。(2014年10月現在)
< 日本の取組 >
日本の対アフリカ外交にとって、平和構築は重要課題の一つです。中でも、南北スーダンの安定はアフリカ全体の安定に直結することから、両国はアフリカにおいて重点的に平和の定着支援に取り組まねばならない地域の一つです。このような認識の下、日本は、2005年以降スーダンおよび南スーダン両国に対し13億ドル以上の支援を実施しています。今後、元兵士の武装解除、動員解除および社会復帰(DDR)の支援といった平和の定着に関する支援を継続するとともに、平和の定着を両国の国民が実感し、再び内戦に逆戻りすることがないよう基礎生活分野等に対する支援を行います。具体的には、スーダンに対しては、紛争被災地域を中心に、人間の基本的ニーズ(BHN)の充足の確保および食料生産基盤の整備を重視した支援を行っています。南スーダンに対しては、上述に加え、インフラ整備やガバナンス(統治)分野を重視した支援を行ってきています。また、2013年12月以降の人道状況の悪化に伴い、2014年5月、緊急人道支援を実施しました。
現在、南スーダンにおいて、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣されている自衛隊施設部隊が活動中ですが、南スーダンの安定と国づくりに日本が一体的に取り組むため、同部隊の行う活動と連携した案件を実施しており、2013年には草の根・人間の安全保障無償資金協力と連携し、「ナバリ地区コミュニティ道路整備計画」を実施しました。同年12月以降の治安状況悪化を受け、現在、同部隊は国内避難民支援等の活動を実施しています。
- 注27 : 南北国境地帯に位置するアビエ地域は、南北内戦時の激戦地の一つであり、また豊富な石油資源を埋蔵していることなどから、両国双方が領有権を主張している。