第 II 部 2013年度の政府開発援助実績

モザンビークの首都マプト近郊のマングローブ園で、現地スタッフと樹高計測結果を確認する森林管理能力強化アドバイザーの井上泰子さん(写真:永武ひかる/JICA)
第1章 実績から見た日本の政府開発援助

マラウイのカブドゥラ中高等学校にて、実験の様子を見ながら生徒にアドバイスを行う青年海外協力隊員(理数科教師)の来島孝太郎さん(写真:今村健志朗/JICA)
2013年、日本の政府開発援助(ODA)の支出総額は225億2,699万ドルで世界第2位、支出純額は115億8,159万ドルで世界第4位の実績でした。
2013年の日本の政府開発援助(ODA)実績は、政府貸付などの回収額を算定に入れない支出総額で、対前年伸び率20.7%増の約225億2,699万ドル(約2兆1,984億円)でした。そのうち、二国間ODAは約195億5,683万ドル(約1兆9,086億円)です。(注1)また、支出純額で二国間ODAが約86億1,143万ドル(約8,404億円)、国際機関に対する出資・拠出などが約29億7,016万ドル(約2,899億円)、ODA全体では対前年伸び率9.2%増の約115億8,159万ドル(約1兆1,303億円)となりました。(注2)
< 実績の分析 >
2013年の日本のODA実績(支出総額)は、前年に比べ約20.7%増で、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC(ダック))加盟国における順位は、米国に次いで、2012年と変わらず第2位となりました。また、支出純額でも約9.2%の増で、順位は、米国、英国、ドイツに次ぎ第4位となりました。(注3)
対前年比で日本のODA実績が増加した主な要因は、債務救済の実績が増加したことや、円借款の貸付実行額が増加したことなどによるものです。2013年ODA実績(支出総額)の内訳は、二国間ODAが全体の約86.8%、国際機関に対するODAが約13.2%です。支出純額の内訳は、二国間ODAが全体の約74.4%、国際機関に対するODAが約25.6%です。二国間ODAは、日本と被援助国との関係強化に貢献することが期待されます。一方、国際機関に対するODAでは専門的知識や政治的中立性を持った国際機関を支えることを通じて、直接日本政府が行う援助が届きにくい国・地域への支援も可能になります。日本は、これらの支援を柔軟に使い分けるとともに相互の連携を図り、適切に援助が供与されるよう努力しています。
援助手法別に見ると、二国間ODAの支出総額では、無償資金協力として計上された実績が約70億3,192万ドル(約6,863億円)で、ODA実績全体の約31.2%となっています。うち、国際機関を通じた贈与は、約16億3,633万ドル(約1,597億円)で全体の約7.3%です。さらに技術協力は約28億360万ドル(約2,736億円)で、全体の約12.5%を占め、政府貸付実行額は約97億2,131万ドル(約9,487億円)で、全体の約43.2%を占めています。支出総額から政府貸付等の回収額を差し引いた支出純額では、政府貸付等は約-12億2,409万ドル(約-1,195億円)となっています。(マイナスは貸付などの回収額が供与額を上回ったことを示します。)
地域別の二国間ODAは次のとおりです。支出総額(支出純額)の順。
(卒業国向け援助を含む)
◆アジア:約125億2,635万ドル(約34億4,873万ドル)
◆中東・北アフリカ:約22億5,879万ドル(約15億3,918万ドル)
◆サブサハラ・アフリカ:約28億9,649万ドル(約21億3,693万ドル)
◆中南米:約3億8,751万ドル(約-3,414万ドル)
◆大洋州:約1億4,148万ドル(約1億2,164万ドル)
◆欧州:約6,400万ドル(約-328万ドル)
◆複数地域にまたがる援助:約13億1,457万ドル(約13億1,457万ドル)






- 注1 : 支出総額(グロス)と支出純額(ネット)の関係は次のとおり。支出純額=支出総額-回収額(被援助国から援助供与国への貸付の返済額)
援助実績の国際比較においては、通常支出純額が用いられている。 - 注2 : 卒業国向け援助を除く。
- 注3 : 日本以外は、暫定値による比較。